楽しくご飯を食べ終えて、食後のお茶を飲んでいる時だった。
それまで弾んでいた会話が、不意に途切れた。
お互いに、何も云わずに視線を合わせる。
僕は、人と目を合わせることが苦手なのだけれども、この時は
なぜか視線が外せなかった。
僕たちは、しばらく動かずにじっとお互い見つめ合った。
数秒の後、動いたのはナオさんだった。

視線を絡めたままで、だんだん近寄る顔。
あ、もうちょっとでぶつかる!
こう思って目を閉じた途端、ナオさんの唇が僕の唇を柔らかく
塞いだ。
背中に回される、あたたかい腕。
ナオさんは、ほんの数秒唇を押しあてて、最後にちゅっと音を
立てて、唇を離した。
そのまま、ぎゅっと抱きしめられる。
僕はすっかりぼおっとなってしまっていて、何も考えて居なかった。

「まこちゃん。僕、まこちゃんに惚れちゃったみたい」
抱きしめられたまま、耳元で囁かれる。
熱い吐息が耳にかかってくすぐったかった。
「ね、僕と付き合わへん?」
ナオさんは僕から身体を少し離すと、こう云って僕の顔を
のぞき込んだ。
じっと見つめられて、僕は思わず首を縦に振ってしまった。

頷いて顔を上げると、ナオさんがもう一度唇を寄せてきた。
目を閉じて、キスを受ける。
この時の僕の気持ちを一言で表すなら、しあわせだった。
ナオさんの舌が、僕の唇を割って忍び込む。
強引に歯列をこじ開けられて、あっと言う間に舌を絡められる。
舌と舌とが触れ合う、今まで味わったことの無い感触に、僕は震えて
思わずナオさんの背中に腕を回してしがみついた。
背中のナオさんの手が、僕の後頭部に回り軽く髪を掴む。
髪を掴まれるままに上向くと、一層深く舌が差し込まれた。
「・・・・・ふ・・・ぅ・・」
息苦しくて、呼吸が乱れる。
ナオさんの舌は、無意識に逃げる僕の舌を器用に捕まえてねっとりと
絡ませてくる。
初めての激しいキスに、僕の意識は半ば朦朧としてきた。
絡ませられた舌から、流れ込むナオさんの唾液。
僕は僅かに甘いその唾液を音をたてて飲み下した。

僕の口中を思う様貪ってから、ナオさんがようやく唇を離す。
唇を離す瞬間、下唇をそっと吸われた。
息を荒げてナオさんを見上げると、ナオさんは僕の髪を優しく撫でた。
「目が潤んでる」
髪に滑る手の感触が気持ちいい。
僕がうっとりと目を閉じると、ナオさんは僕を優しく抱きしめた。
「もう、止まりそうにない。最後まで、ヤって良い?」
耳たぶを甘く噛みながらこう云われて、僕は答える代わりにぎゅっと
ナオさんに抱き付いた。

抱き合ったまま、そっと床に押し倒される。
耳たぶから首筋に沿って唇が滑る。
ぞくぞくっとくすぐったいような感触に、僕は僅かに身体を捩った。
恥ずかしくて、目が開けられない。
僕はひたすら目を瞑って、ナオさんにしがみついていた。
ナオさんの手が、ボタンを外す。
露わになった胸を熱い手で撫でられて、僕は身を竦ませた。
首筋を辿った唇が、鎖骨を甘く噛み、そのまま胸元へと降りる。
舌で胸を舐められて、僕は身体を跳ね上がらせた。
「ん?胸感じる?」
ナオさんののんきな声がする。
ナオさんは何度か舐め上げると、舌先で僕の胸を押しつぶした。
「あ、立ってきた」
ナオさんの嬉しそうな声がする。
押しつぶされて、固くなったのが自分でも分かった。
執拗に胸を舐められて、きつく吸われる。
それだけで、血が下肢の中心に集まって行く。
「・・・くっ・・・・・」
無意識のうちに唇を噛み締めていたら、ナオさんがそっと口付けて
きた。
「そんなに噛んだら唇が腫れちゃうよ?」
優しい声に、目を開く。
目の前には、柔らかく笑んだナオさんが居た。
「噛むならコレを噛んで良いよ?」
指先が唇を撫で、緩く開いた僕の口に忍び込む。
僕はいれられた指先に、そっと舌を絡めてみた。

口の中の指に集中していたら、口とは反対の胸を弄っていた手が、
いつのまにか下肢へと降りていた。
片手で器用にベルトを外し、あっというまに下着ごとズボンをずりさげ
られる。
僕はいまさら恥ずかしくなって、両手で顔を覆うと身を捩って顔を背けた。
「まこちゃん。顔見せてよ」
ナオさんの手が、顔を覆う手を掴む。
真っ赤になった僕の顔を見て、ナオさんは頬にちゅっと口付けた。
「可愛い顔を隠さんで?」
にっこり笑顔でこういうと、掴んだままの僕の手にも口付ける。
僕は顔を覆うのを諦めて、ナオさんの首に腕を回すと顔が見えない
ようにしがみついた。
膝のあたりでまとわりついていた衣服を、足で蹴り脱がせ、ナオさんの
手が、僕の足に伸ばされる。
膝裏を両手で救われて、足を大きく割り広げられた。
自分がしているであろう格好を想像すると、生きていられそうにもない。
僕はただひたすら、ナオさんの手に意識を集中した。
ナオさんの手が、きゅっと僕自身を握り込む。
初めて他人の手で触れられる感覚に、僕は思わず声をあげた。
「・・・・・・あっ・・・」
そのまま、ゆるゆると扱かれる。
自分でする時とはまったく違う、信じられないような快感。
僕は頭が真っ白になった。

耳に届く、僅かに濡れた音。
それが、自分自身から響いていると自覚したとき、僕は恥ずかしくて
泣きそうになった。
くちゅ・・・ちゅ・・・くちゅ・・・
ナオさんの手が動く度に、静かな室内に音が響く。
泣きそうな僕の顔に気づいたのか、ナオさんが手を止めた。
「どうした?どっかイタイ?」
髪を撫でながら、優しく聞かれて、僕はぶんぶん首を振った。
「ちが・・ぅ。音・・が、はずか、しいだけ・・・」
消え入りそうな声で、ようやくこれだけ云うと、
ナオさんはぎゅっと僕を抱きしめた。
「音なんか、気にせんでええ。すぐに、気にならなくなる」
耳元でこうささやいて、そのまま耳に舌を差し込む。
思わずぞっとするほどの快感が背骨を通り抜けた。
ナオさんの巧みな手で導かれて、ほどなく上り詰める。
頭の中が真っ白になって、僕はナオさんの手の中に思いきり迸りを
叩きつけた。

快感の余韻に身を震わせて薄く目を開くと、ナオさんが僕の白濁に
まみれた手を、口に含んでいた。
「気持ちよかった?」
口から指を引き出しながら、笑顔で聞かれて僕はぼんやりうなづいた。
「んじゃ、これからが本番ね」
ナオさんはこう云いながら、僕の後ろに指を伸ばしたが、僕は相変わらず
ぼんやりしたまま頷いた。
べたべたにぬめったナオさんの手が、僕の後ろを探る。
窄まりを指先でつつかれて、僕は思わず逃げようとした。
が、ナオさんは腰を押さえつけて僕を逃がそうとしない。
「身体の力を抜いて。リラーックスして」
催眠術師みたいな口調で、ナオさんがのんびりと云う。
優しく髪を撫でられて、僕の身体は何時しか柔らかく溶けた。
僕の身体が緩んだのを見て、ナオさんの指が中に忍び込む。
僅かな痛みに、僕が身体を強張らせるとナオさんはすかさず僕を
抱きしめて髪を撫でてくれた。
髪を撫でて貰うのは、気持ちよくてすごく落ち着く。
いつしか僕はナオさんの指を根本まで受け入れていた。

「中、熱いね・・・」
ナオさんが小声でいいながら、ゆっくりと指を抜き差しする。
僅かな痛みを伴って出入りする指の感覚は、吐き気がするほど気持ちが
悪かった。
絶え間なく息を吐く僕に口づけながら、ナオさんは指を2本に増やす。
荒々しいキスに気を取られている間に、中を執拗に探られる。
舌を強引に絡め取られてきつく吸われる。
その瞬間、中の指が指がある一点を抉った。
「んあ・・・・っ!!」
思わず口を振り解いて、声をあげてしまうほどの快感だった。
みるみる自身が勃ちあがるのが分かる。
「ん?ココが良いの?」
ナオさんは聞きながら、更にそこを抉り立てる。
僕はがくがくと頷くのが精一杯だった。

「も、ヤバイ。まこちゃん可愛すぎる・・・」
ナオさんが呻くようにいって低く僕の耳に囁いた。
「挿れるぞ」
この言葉が終わるか終わらないかの内に、僕の足は抱え上げられ、
胸に付くほど押しつけられた。
苦しい体勢に戸惑う間もなく、指で緩んだ後ろにナオさんの熱いモノが
押しあてられる。
そして、そのまま一気にナオさんは中に入ってきた。
「ひ・・・っ!」
身を裂くような痛みと、灼熱の熱さに僕は思わず声にならない
悲鳴を上げた。
小刻みに揺すりあげながら、徐々に奥を目指してナオさんは分けはいる。
僕は汗で滑るナオさんの背中に必死で手を回して縋り付いた。
根本まで収めたナオさんが、ゆっくりと息を吐く。
ずっしりと下腹部が重かった。
ナオさんは呼吸を整えてから、ゆっくりと動き始めた。
ナオさんのモノに順応しかけた内壁を乱されて、僕は声を我慢できなかった。
「・・・・あ、・・・・あぁ、んあ・・・・・・っ・・」
閉じていられない口から、ひっきりなしに漏れる声。
次第に、その声に濡れた音が混じり始める。
自分のあげる鼻にかかった甘ったるい声と、ナオさんと繋がった部分から
響く湿った音に、耳まで犯される。
ナオさんは徐々に動きを早めながら、僕のモノを扱きあげた。
既に張りつめていた僕のモノは、あっと言う間に限界まで上り詰める。
「も、・・・・もう、ダメ・・・・・っ」
僕は高い声をあげてナオさんの手に2度目の白濁を放った。
放つ瞬間、内壁がナオさんを締め付ける。
「・・・・・・・・ん・・・・・・」
ナオさんも僕の後を追うように、喉の奥で甘い声を立てると僕の奥に迸りを
放った。

荒く息を吐きながら、ナオさんは僕にもたれ掛かってきた。
汗で額に張り付いた髪を、優しく掻き上げて口付けられる。
僕はうっとりと目を閉じた。
身体に掛かるナオさんの重みが愛おしかった。

 

→NEXT

←BACK

←TOP