本当に、イヌを飼ってるみたいだ。
 ユウが来て数日、カィリはあれこれ世話をやきながら、しみじみと思った。
 カィリにはイヌは勿論、どんなペットも飼った経験がなかったが、きっとペットを飼うというのはこういう感じなのだろうと、想像する。
 昼下がり、城が昼寝をしにいったのを見計らって、檻に閉じこめられているユウの様子を見に行った。
 檻の中に居る間、ユウはほとんど寝てばかりいた。
 薄手の毛布にぎゅっとくるまり、身体を小さく縮めて眠る。
 時折、うなされていることもある。
 きっと、現実と変わらぬ悪夢を見ているのだろう。
 小さな檻の、更にすみっこで丸くなって眠っているユウに、声をかける。
「ユウ、ユウ」
 格子の間から手を入れて、そっと身体を揺り動かすと、ユウはびくりと身体を震わせ、目を開けた。
 怯えたように起きあがり、無表情でカィリを見る。
 その様子は、まるで警戒しきった小動物のようだった。
「おいで」
 鍵の掛かっていない扉を開け、手招きをすると、ユウはのろのろと四つん這いのまま、檻から出てきた。
 喋るな、立つな、逆らうな。
 お前はイヌだ。
 連れてきた義父も、ここの主人も、そうユウに命令をしていただけあって、カィリに対しても、ユウは至って従順だった。
 白く整った顔には、ほとんど表情がなく、責められる時だけ、つらそうに歪む。
 からだつきは細身だったが、成長期の子どもらしくのびやかで、それほど脆弱な印象は与えない。
「怖がらなくていいよ」
 不安そうな顔をしている顔を覗き込んで言ってやり、さらさらとした髪を撫でる。
「ここに座って。大丈夫、彼は寝てるよ」
 促すと、ユウは少し逡巡して、這うようにしながらソファに上がると、膝を抱えるようにして座った。
「甘いものは好き?」
 カィリの問いに、ユウは困惑しきった表情を浮かべた。
「ココアだけど、飲む?」
 大振りのカップに入ったココアを手渡すと、ユウはやっぱり困ったような顔のまま、両手でそれを受け取り、ぺこりと小さく頭を下げた。
「飲んで良いよ」
 優しく声を掛けると、ユウは大人しくカップに口を付けた。
「お腹は?空いてない?」
 顔を覗き込むようにして聞くカィリに、ユウが小さく首を振る。
 ユウは、あまり食事をしなかった。
 勿論、あんな格好のまま、手も使わずに食べさせられるとあっては、食欲も失せるというものだが、もともと小食のたちらしい。
 甘い物は好きなのか、ココアを飲むユウの顔は、少しほっとしたように表情が緩んでいた。

すっかり眠ってしまったユウを、カィリが檻の中に運び、しばらく経った頃、男が昼寝から起きてきた。
 城はいつでも好きな時に、好きな場所で、好きなだけ眠る。
 常に、自分の欲望を満たす事を優先し、本能の赴くまま行動する、それが可能な男だった。
「カィリ。水をくれ」
 キッチンに向かって声を掛け、檻の鍵を開けてユウを引きずり出す。
「…っ」
 寝起きで意識がはっきりしないまま、男の手で首輪を掴まれ、乱暴に床を引きずられて、ユウは思わず身もがいた。
「大人しくしないか」
 鈍い音と共に、身体を捩って逃げようとするユウの鳩尾に拳が沈められる。
 ユウは低い声で唸り、腹を押さえてうずくまった。
「お前はまだ、自分の立場がよく分かってないようだな」
 ユウの胸に膝をつき、押さえつけるようにしながら、首に填められた首輪を外す。
 かろうじて呼吸のできる、ギリギリのきつさで締められていた首輪を数日ぶりに外されて、ユウは大きく息をついた。
 白く細い首筋に、赤く擦れた首輪の痕が残されている。
 男は、その痕をどこか慈しむように、手のひらで撫でると、無造作にユウの膝を割り広げた。
「うぅっ」
 全く慣らされもせず、乾いた場所を無理矢理貫こうとする男に、ユウが歯を食いしばる。
「力を抜け」
 男は冷たく言いながら、先端を力づくでねじ込んだが、あまりのきつさに男は舌打ちをすると、埋め込んだそれを引き抜いた。
「タケル」
 いつの間にか側に来たカィリが男に水を満たしたコップを手渡す。
 男は、それを受け取ると、床に敷いたムートンが濡れるのも構わず、いきなりユウの下半身へ、水を掛けた。
「もう一杯もってきてくれ」
「ローションでも持ってこようか?」
「水が飲みたいんだ」
 男は、カィリの持った盆にコップを返すと、再びユウの足を持ち上げ、ユウの下半身に滴る水を自身になすりつけると、再びユウを貫いた。
 ぐっと体重を掛け、上からのし掛かるようにして、押し込んでいく。
 ぎちぎちと音が聞こえそうな程の締め付けに、少し息を乱しながらも、何度も腰を打ち付け、徐々に収めていく。
 ユウの喉から、弱々しく掠れた、悲鳴混じりの呼気が洩れたが、男はまるで頓着せず、ユウの細い腰を掴んでぐっと引き寄せ、根元まで突き入れた。
「はい。水」
 カィリに水を手渡され、男は一気にそれを飲み干した。
「夕飯はパスタにしてくれ」
「ソースは?」
「和風がいい」
「分かった」
 少年を陵辱している真っ最中とは思えない、他愛のない会話を交わし、カィリはユウに目もくれずに、男の頬に軽く口付けると、キッチンに戻った。
 男が太く滾ったモノを先端だけ残してずるりと引き抜き、勢いよく押し込む。
 何度もそれを繰り返し、男の大きさに、ユウの内部が馴染んできた頃、男はおもむろにその白い首へ手を掛けた。
「抵抗するなよ」
 男の声に、ユウが瞑っていた目を開ける。
 怯えたその視線を、男はにやりと受け止めると首に置いた手に力を込めた。
「うぐっ」
 気道を塞がれ、ユウの顔が苦悶に歪む。
 それを見下ろしなgら、男は緩慢に腰を使った。
 力を込めては緩め、緩めかけては、また込める。
 苦しみに身体をのたうたせながらも、ユウは抵抗しなかった。
 指先が、毛足の長いそれをむしらんばかりに、ラグを掴む。
 ユウの身体は面白いように反応して、内部の男を締め付けた。
 息も絶え絶えになって咳き込む度に、心地よい振動が男を包む。
 狙った通りの快感に、男はすっかり満足すると、ユウの中にたっぷりと放った。  ようやく首から手を離されて、ユウが激しく咳き込み、大きく喘いで、身体を震わせる。
 男は、ユウから引き抜くと、その身体をいとも簡単にひっくり返した。
「あぁあっ」
 息が整う間もなく、再び後ろから貫かれて、ユウが掠れた悲鳴をあげる。
「カィリ、口が淋しそうだ。お前のモノを銜えさせてやれ」
キッチンから、二人の行為を見るともなしに見ていたカィリは、気乗りしないまま、ユウの前に行き、飲み込みきれない唾液と汗、そして涙でぬるぬると滑る顎を掬いあげた。
 泣き濡れた目が、一瞬カィリを縋るように見つめ、そしてすぐに伏せられた。
 あぁ、この子は知っているんだ。
 カィリの背筋をぞくりとしたものが走り抜ける。
 誰も信じてはいけないことを。
 自分を救ってくれる人など、この世にはいない。
 すべての苦痛を、屈辱を、涙を、快楽を、一人で堪えるしかないのだと、この子は知っている。
 カィリは自身を取り出すと、ユウの口元に突きつけた。
 従順に唇が開かれ、そこに半ば無理矢理自身を押し込む。
 喉奥深く犯されて、ユウは苦しげにえづくと、新たな涙を溢れさせ、それでもたどたどしく舌を使った。
 どうして無抵抗の相手に、あんな事ができるんだ?
 ついさっきまで、主人がイヌに無体を強いる様を見ながら、そう思っていたというのに。
 今のカィリは、涙で頬を濡らしながら、懸命に自分に奉仕する少年の髪を鷲掴み、乱暴に揺さぶっていた。
 ほんの一瞬、自分に向けられた信頼。
 ユウはすぐにそれを手放したが、床に転がったそれをカィリは更に踏みにじった。
 どぷりと突然放たれた白濁にむせ、ユウがその大部分を零してしまうと、舌打ちと共に、平手で強く頬をはたいた。
「はは」
 カィリの様子を目を細めて見ていた男は、乾いた男に、楽しげな笑い声を漏らした。
 カィリは黙ったまま、ぐいと髪を鷲掴み、みるみるうちに赤い手形を浮かび上がらせる顔を、床に押しつける。
 命令されるまでもなく、ユウは床に滴った白濁を、舌を伸ばして舐めた。
 目尻から溢れた涙が、頬を伝い、ぽつり、ぽつりと床に落ちる。
 ユウはその雫も、舌で舐め取った。
 舐める端から、きりもなく新たな染みが増えていく。

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