「・・・・・・・・・」
僕は顔を紅潮させると、唇を噛んで下を向いた。
今までナオさんは僕がして欲しい、と思うことをいつでも先回り
してやってくれた。
それなのに、今日に限ってどうしてこんな事を云うんだろう?
僕が黙り込んでいると、そっとナオさんの指先が僕の先端を擦った。
「あっ!」
いきなりの刺激に僕は思わず声を立ててしまう。
「言えないの?」
ナオさんが僕の顔をのぞき込む。
からかうような目に、僕はかちんときた。
「絶対言わない」
低い声で、宣言して、ナオさんの手から逃れるように体を捩る。
ナオさんの手が押しとどめるかと思ったのに、それは無かった。
体を捩った僕は、ナオさんに丸めた背中を向けて壁を見つめた。
ナオさんが何を考えてるのか、さっぱり分からない。
かちんときたまま、壁と向き合っていると、ナオさんはそっと僕の
肩に手を置いて、耳元に囁いてきた。
「強情なトコもかわいい」
ナオさんは、自分の声が僕に与える影響を熟知していた。
いつもより低めの声で甘く囁く。
勿論、熱い吐息を吹きかけることも忘れない。
ぴくり、と体が反応するのが分かった。
「でも、いつまで保つかな・・・」
ナオさんが言いながら、耳たぶを甘く噛む。
僕の弱点を知り尽くしたナオさんの攻撃に、僕の中心はますます
とろとろと蜜をこぼして張りつめた。

「まこがあんまりかわいいから、いじめたくなる・・・」
ナオさんの不穏な台詞が耳に囁かれると同時に、先走りを絡めた
指が、僕の後ろへと滑った。
「ぁ・・・・・」
小さく漏らした声は、ナオさんに聞こえてしまっただろうか?
ナオさんに背を向けているせいで、ナオさんの指は容易に後ろの
入り口を探りあてる。
すべて、ナオさんの計算通りに動いてる気がする・・
僕は中にねじ込まれる指に、息を呑みつつちらりと思ったりした。
後ろを、ナオさんの長い指が緩慢に出入りしている。
僕はナオさんの手が好きだった。
大きくて、指が長くて、すらりと長い指。
でも、見かけの割りに不器用なんだよな〜
ナオさんが自分の両手を見て、そう言っていたのを思い出す。
これって、十分器用だよな・・・
自分の中で自在に蠢き、僕の弱いところを的確に突いてくる指に
僕は翻弄されていた。
「ひっ!」
ナオさんの指が僕の一番感じるポイントを掠めて、僕は思わず声を
あげた。
初めは掠めるように、そしてだんだん確実にポイントを狙って突いて
くる指。
僕のモノはあっと言う間に限界まで張りつめて、とろとろと蜜を零し、
ナオさんの手を濡らした。
「云わないの?」
柔らかな声で耳に囁かれる。
身体はもう限界でとうに悲鳴をあげていたけど、お願い、なんてする
のはなんだか悔しくて、僕はぎゅっと唇を噛んだ。
後ろの刺激はそのままに、張りつめた僕のモノの先端を、ナオさん
の指が撫で上げる。
「やっっ!!」
もう僅かな刺激にも耐えられないほど、僕のモノは限界に来ていた。
ナオさんの手を押さえ、爪を立てる。
ナオさんの手は、それでも止まってくれなくて、先端の指をすっと下
までなで下ろし、そしてきつく根本を戒めた。
「ナオさんっ!」
行き場を無くして、身体の中をぐるぐると駆けめぐる熱を持て余して、
僕は半分泣きながら、ナオさんを呼んだ。
僕の前を手で戒め、後ろに指を含ませたまま、ナオさんは僕の顔を
のぞき込む。
ナオさんは涙に濡れた僕の頬にそっと唇を落とした。
「も・・・・っ」
無意識の内に、むずかるように腰が動く。
「まこ。イかせて、ってゆってごらん?」
ナオさんはあやすように僕の耳に囁く。
声の優しさとは裏腹に、僕の中の指は止まらない。
僕はとうとう陥落した。

「お、願い!イかせてっ!!」
僕が云うと同時に指が音を立てて引き抜かれる。
僕は引き抜かれる感触に身体を震わせながら、ナオさんに思いきり
抱きついた。
ナオさんと僕の間のモノを、ナオさんはきつく扱きあげる。
「ああっ!」
僕は声をあげて、ナオさんの手の中に思いきり白濁を吐きだした。
「はあっ、はあっ・・・・ん・・・・」
ナオさんの胸に身体を預けて、荒い息を整える。
僕が吐きだした白濁を、ナオさんの指が絡め取る。
ナオさんはそっと僕をシーツに押しつけ、僕の足を抱え上げた。
僕の白濁を、自分のモノに塗りつけ、ナオさんはゆっくりと僕の中に
入ってきた。
「う・・・・・・」
未だ慣れることの無い圧迫感。
じわじわと自分の中に、熱く固いモノが侵入する感触。
僕は浅い息を絶え間なく吐いて、これらの感触に耐えた。
ゆっくりと挿入を終えて、ナオさんが動きを止める。
僕はナオさんの背中に手を回した。
暖かい。
僕は半ばうっとりと目を閉じた。
そんな僕の顔を見て、ナオさんがゆっくりと動き始める。
いっぱいに身体を埋めたモノがぎりぎりまで引き抜かれ、そして一気
に突き上げられる。
「んあっ!!」
僕はナオさんの背中に縋って声をあげた。
「まこの中、あったかくって、きゅうきゅう締め付けてくる」
ナオさんが笑い混じりに云う。
僕は恥ずかしくて、ナオさんの背中に爪を立てた。
背中の痛みに触発されたのか、ナオさんの動きが徐々に速くなる。
ぐっぐっと突き上げられる度に、僕とナオさんの間で再び立ち上った
僕のモノが刺激される。
足を抱え上げられて、突き上げの角度が変わった。
前立腺を抉るようにして突かれた時、あまりの快感に声も出ずに、
僕は背中を弓なりにそらせた。
無意識の内に、足が逞しいナオさんの腰に巻き付くように回る。
僕は半ば意識を飛ばしながら、ひっきりなしに嬌声をあげていた。
「あああああ・・・・・・」
ぐっと一際奥を突かれて、耐える間もなく吐きだしてしまう。
吐精しながら、僕は後ろをぎゅうぎゅう絞り上げていた。
「う・・・・っ」
僕のきつい締め付けに、ナオさんも低く声を漏らし、僕の奥に熱い迸り
を流し込む。
ナオさんがきつく僕を抱きしめる。
僕はあまりの快感に、ぼうっとしてナオさんに身を任せていた。

 

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