寝室に行くのももどかしく、ナオさんはそのまま僕をテーブルの脇に
押し倒して、性急に服を剥いだ。
あっと言う間に僕を裸にひん剥いて、自分も服を脱ぎ捨てる。
「寒くない?」
ナオさんは裸の僕を見下ろして、そっと頬を撫でた。
「ううん。平気」
部屋の中は暖房が効いていて、裸でいてもあたたかく心地良い。
僕はナオさんの首に腕を回して抱き寄せた。
「まこ・・・・」
囁きとともに、吐息が耳に掛かる。
こう云うときのナオさんの声は、いつもより低くてハスキーだ。
僕はこの声で囁かれるだけで、身体が熱くなるのを感じた。
ナオさんの乾いた手が、僕の身体を確かめるように撫でて行く。
僕は促されるままに、膝を立て、足を開いた。
前は恥ずかしくてたまらなかったこの行為にも、抵抗は薄れてきていた。
ナオさんはすごく優しいけれど、手加減も容赦もしない人で。
今までさんざん白昼堂々とか、煌々と明るい部屋の中で、恥ずかしい格好を
させられてきた僕にとっては、ろうそくの薄明かりの中で足を開くことくらい、
なんでもなくなっていた。
そのことに気づいて、今更ながら恥ずかしくなる。
僕って、やっぱりヘンタイなんだろうか?
なんて今まで何度も自問した問いが、もう一度頭に浮かぶ。
が、僕は頭を振って、その考えを吹き飛ばした。
たとえ、僕がヘンタイだとしても、ナオさんはもっとヘンタイだ。
妙な論理のすり替えをして、ひとまず自分を納得させる。
ナオさんは、そんな僕の思いを知ってか知らずか、にやりとやらしい笑みを
こぼして、僕の顔をのぞき込んだ。
「シャンメリーとケーキ、どっちが良い?」
「・・・・・・え?」
イヤな予感がする。
僕が答えずに黙っていると、ナオさんはにっこりと笑っていった。
「分かった。両方な」・・・・・・やっぱりナオさんはヘンタイだ。
僕は半分泣きそうになりながら、ナオさんの顔を恨めしげに見上げた。
体中に塗りたくられた、甘い匂いのする生クリーム。
勿論クリームは、僕の足の間にも塗りたくられていて・・・
「微妙な味がする」
その先端をナオさんが舐めていた。
僕の体温で溶けたクリームと、溢れだした先走りとで、僕のソコはどろどろ
だった。
「び、みょうな味って・・・・・・」
ナオさんの言葉に僕が絶句すると、ナオさんは真剣な顔で唇を舐めた。
「苦いような、甘いような・・・・」
「そっ、そんな味の説明なんてしなくてイイ!!」
僕が真っ赤な顔をして喚くと、ナオさんは笑ってクリームにまみれた僕のモノ
を、喉奥深くに飲み込んだ。
「ん・・・・」
ナオさんの舌が、クリームを舐め取るように蠢き、唇を使って扱きあげる。
「キレイになった」
ナオさんはすっかりクリームを舐め取ってしまうと、先端に一つ口づけて、
唇を離した。
僕のモノはすっかり勃ちあがって、硬く張りつめている。
中途半端な状態で唇を離されて、僕の腰がじれったげに揺れた。
そんな僕の状態を後目に、ナオさんは机の上に手を伸ばしている。
警戒して身体を強張らせる僕の耳に、ぽんっ!と軽快な音が聞こえた。
その途端、ナオさんに深く口づけられる。
「ん〜〜」
割り広げられた歯列の間から、シャンメリーが流れ込む。
アルコール分2パーセント未満の、子どもじみたお子様シャンパン。
口の中に注がれるそれは、あまたるく、そしてぴりりと炭酸が効いていた。
「は・・っぁ・・・・」
ゆっくりと口づけが解かれる。
僕は濡れた目でナオさんを見上げた。
「そんな色っぽい目で見られたら、酷くしたくなる・・・」
ナオさんが、囁きながら首筋に口づける。
口づけついでに、きつく吸い上げられて、ちくりと痛みが走った。
「も、学校お休みやから、跡つけても平気やろ?」
ナオさんが笑顔で見下ろす。
僕は小さく頷いて、ナオさんの首に腕を回した。
「う・・・・・」
泣き声を漏らして身体を強張らせる僕の中に、それは少しずつ入ってきて
いた。
硬く、冷たい感触。
「まこ。力抜いて・・・・」
ナオさんが優しく僕のモノを撫で上げられる。
「ん・・・んぁ・・・あ・・・」
ゆったりと握り込んだ手で扱かれて、僕は途切れがちな甘い声をあげた。
僕が声をあげる度に、瓶は少しづつ奥へと入ってきていた。
「ひ・・・・や・・・ぁっ!!」
ナオさんが胸に付くほど、僕の膝を押し開き、その拍子に瓶の中の
シャンメリーが、僕の中へと流れ込んだ。
身体の中で、泡が弾けるような、なんともいえない感触。
僕は頭を振って、その感触に耐えた。
「全部入ったねえ」
ナオさんののんびりした声がして、僕はうっすらと目を開けた。
僕の中に半ばうまった、シャンメリーの小さい瓶。
透明な緑色のそれを、ナオさんはゆっくりと動かし始める。
「ん・・・・・っん・・・ぅう・・・・・」
ナオさんはごく浅い位置で、瓶の抜き差しを繰り返した。
そのうちに、身体がもっと深い位置への刺激を求めはじめてきた。
意志とは関係為しに、腰が蠢き、内部が収縮して瓶をくわえ込む。
ナオさんは、ゆっくりと僕の中へと瓶を沈めていった。
瓶の一番太いところまで、僕の中に埋め込むと、ナオさんは瓶を飲み込んで
いっぱいに広がった僕の縁をゆっくりと指先で辿った。
「・・・・んん・・・・・・」
もどかしいような気持ちよさに、鼻から抜けるような甘い声が出てしまう。
ナオさんは黙ったままで、ぐりぐりと瓶を動かしはじめた。
「い・・・やっ。ちょっ・・・!」
冷たい瓶の口が、僕のポイントを掠める。
僕は思わずナオさんの手に爪を立てた。
が、ナオさんの手は緩む事なく、僕のポイントを狙って瓶を突き立てる。
「・・・・・・んあっ!」
僕は堪えきれずに、白濁を放っていた。
「ん・・・・・・・」
ナオさんが甘く喉で笑って、僕の放った白濁を舐め取っていく。
下腹に、脇腹に、胸に、ナオさんの舌が這う。
放ったばかりの敏感な身体は、その度にびくびくと過剰な反応を返した。
「まこ?」
ナオさんの心配そうな声がして、僕は瞑っていた目を開いた。
途端に目の端から、ぽろりと涙がこぼれ落ちる。
「痛かった?」
ナオさんの指先が、優しく僕の涙を掬う。
僕は涙に濡れた目で、ナオさんを睨んだ。
「一緒にイきたかったのに」
恨みがましく低く呟き、ナオさんの頬を摘む。
ナオさんは安心したように笑って、頬を摘まれたまま、僕の額に口づけた。
「じゃあ、今度は一緒にね」
甘い声で囁かれる。
僕が小さく頷くと同時に、乱暴に瓶が引き抜かれた。
「ひっ!」
いきなりの行為に、小さく悲鳴が漏れる。
ナオさんは僕の足を抱え上げると、後ろに熱くたぎったモノを押しつけた。
「は、・・・・・やくっ!」
思わず縋りついて、強請ってしまう。
ナオさんはゆっくりと僕の中に入ってきた。
瓶とは比べものにならない、熱さと圧迫感。
僕はナオさんの腰に足を巻き付けた。
ナオさんは僕を揺すり上げながら、ゆっくりと根本まで収めると、僅かに息を
漏らした。
「まこの中、あったかいね」
小さく笑って、そういいながら、僕の腰を掴む。
僕がぐっと腕を伸ばしてナオさんの首にしがみつくと、ナオさんは激しく腰を
打ち付け始めた。
「んあっ、あっ、あっ、あっ、ん・・・んぅ・・・んあ・・・・っ」
もう、とても声を抑えてなんていられない。
僕は絶え間なく嬌声を上げて、ナオさんの耳元で喘いだ。
ナオさんが動く度に、繋がった部分からぐちゅぐちゅと濡れた音が響く。
僕はその音に羞恥を煽られて、ナオさんの肩に顔を埋めるようにして、顔を
隠した。
「まこの声、すげえやらしい」
ナオさんに低く囁かれる。
そんなナオさんの声も十分いやらしくて、僕の背筋を快感が駆け登った。
「な、お・・さん。も、ダメ。イきそうっ!」
僕は自分からも腰を動かすと、ナオさんに身体を擦りつけた。
「ん・・・・んじゃ、一緒に・・・ね」
ナオさんの腕が、きつく僕を抱きしめる。
僕はあまりの気持ちよさに、また涙をこぼしながら、ナオさんの背に
爪を立てた。
ナオさんのモノが、僕のポイントを抉るようにして突き刺さる。
僕は背中を反らして、一気に欲望を放った。
放ちながら、ぎゅうっと内部を収縮させる。
きつい締め付けに、ナオさんは息を詰めると、きつく僕の腰を抱いて、僕の
奥に迸りをたたきつけた。
「まこ。まこ」
小さく僕の名前を呼ぶ口が、荒い息を吐く僕の口を塞ぐ。
貪るように口づけられて、気が遠くなる。
「・・・・・疲れた」
ようやく離された唇でこう呟くと、ナオさんは汗で張り付いた僕の髪を優しく
掻き上げ、額に一つキスを落とした。
「ごちそうさまでした」
ぐったりと立ち上がる気力もない僕を抱え上げて、ナオさんはお風呂に入れて
くれた。
僕は子どもみたいにナオさんに身体を預けて、半分微睡んでいた。
ナオさんは、とろりと眠たげな僕を抱えてベッドに下ろすと、頬にそっと口づけを
落とした。
ちゅっと自分の頬が鳴るのを聞きながら、僕は眠りに落ちていた。
気が付いた時にはもう朝で、カーテンの隙間から柔らかな朝の光が射していた。
僕はぼーっとする頭を振りながら、裸のまま身体を起こした。
すかー
すかーと天下太平の寝息をたてて寝ているナオさんの頬にそっと、
口づける。
その時、ベッドの脇に赤い袋が置いてあるのが目に留まった。
「?」
ずっしりと重たい袋を膝の上にのせて見てみると、袋には妙な笑顔のサンタが
描いてあり、その上に”サンタのふくろ”とかいてあった。
袋のてっぺんに手紙がくっついているのに気づいて、そっと封を開けてみる。
くまのついたクリスマスカードに、達筆でこう書いてあった。
「クリスマスおめでとう。今年はよい一年でしたか?サンタはとてもよい一年で
すごく幸せでした。まこちゃんも幸せだと嬉しい。まこちゃんはとても良い子だった
ので、サンタからのプレゼントです。また来年もデートしようね。サンタより」
僕は手紙を3回読んだ。
ちょっと涙が出そうなくらい、嬉しかった。
手紙をしまって、袋を開ける。
中には色とりどりの包装紙に包まれたプレゼントが、いくつもいくつも入っていた。
プレゼントを全部開け終えたあと、僕は裸のまま立ち上がって、かばんから自分
のプレゼントを出してくると、そっとナオさんの手をとった。
赤い毛糸で編んだ手袋。
「無くしたら大変だから、ひもを付けてね!」
こういったナオさんのリクエストどおり、二つの手袋はひもで繋がっている。
僕は眠ったままのナオさんの手に、そっと手袋をはめてみる。
サイズがぴったりだったことに、僕はとても満足して、もう片方を手にはめた。
僕には少し大きすぎるけど。
僕は手袋をしたまま、そっとナオさんに寄り添った。
運命の赤い毛糸で結ばれて。
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