◆突発SS◆

ドアに付いているネームプレートを確かめる。
間違い無い。
俺は深く息を吸い込んでから、息を止めてそっとドアをノックした。
「失礼します」
恐る恐るドアを開けて、中を窺う。
「真下か。なんだ?」
椅子に座って俺を振り返った上島さんは、着替えの途中だったらしく、
シャツのボタンが大分下まで外されていた。
「あ、あの、お疲れさまでした」
ちらりと見える肌に釘付けになりそうなのを我慢して、しどろもどろで
頭を下げる。
「それを云いにわざわざココへ?」
少し冷たい声。
俺は一気にひるんで、おろおろと足下に視線を落とした。
「いえ、あの…」
「はっきりしねえなあ。何だよ」
「あの、今夜これから、何か予定とかってありますか?」
びっくりしたように、上島さんが俺を見上げ、俺は居たたまれない気持ちに
なって、再び床に視線を落とした。
「予定は、ある」
少しの沈黙の後の上島さんの言葉に、心底がっくりくる。
一世一代の勇気を出して、誘ったのに…。
俺はがっくりきたまま、かろうじて微笑むと口を開いた。
「じゃあ…、失礼します」
いきなりやってきてコレじゃあ、不審人物もイイトコだよなあ。
とぼとぼと踵を返し掛けた時、上島さんが煙草をもみ消しながら、ゆっくりと云った。
「待てよ」
ぴたり、と俺の足が止まる。
おもむろに立ち上がった上島さんが、ゆっくりと俺に近づいてくる。
え、え、なに…?
思考をまとめる暇もなく、上島さんが俺の顎を指で掴んで上げさせた。
びっくりしすぎて、目を閉じることもできない。
見開いた目の先には、人の悪そうな笑みを浮かべた…大好きな顔。
「んっ…」
あっという間に唇が降ってきて、舌先が強引に歯列を割る。
熱い舌で、口中を荒々しく掻き回されて、俺は震えて目を閉じた。
きつく舌を吸い上げられて、ひざががくがくする。
深く浅く、角度を変えては繰り返される口づけに、俺はくらくらしながら、
無意識のうちに、上島さんのシャツをきつく握っていた。
「こうされたかったんだろ?」
唇を僅かに離して、上島さんが低く囁く。
耳を掠める熱い吐息に、背筋をぞくりとしたものが駆け上る。
俺はとろけた目で上島さんを見つめたまま、ぼんやりと頷いた。
片頬だけでにやりと笑って、上島さんが俺を突き飛ばす。
力の抜けきっていた俺は、テーブルに俯せるように倒れ込んだ。

「か…み、しまさん?」
驚いて肩越しに振り返り掛けた俺に、上島さんがのし掛かってくる。
「大人しくしてろ。ヤられたかったんだろ?」
舌をぺろりと舐めながら、上島さんが笑い混じりに小さく囁く。
「もう、こんなじゃねえか」
無造作に足の間を掴まれる。
「あっ!」
さっきのキスで、俺のモノはもう限界にまで張り詰めている。
「や、やめ…っ」
みっともなく震えた声での制止は、あっさり無視された。
あっという間にベルトが引き抜かれ、緩められたウエストから手が滑り込んでくる。
「もうビショビショ…」
乾いた手のひらに、直截に握り込まれて力が抜ける。
「ひっ!」
ぐりりっと先端に爪を立てられて、俺は思わず引きつった声をあげると早々と放ってしまった。
荒く息を吐く俺から、ゆっくりと上島さんの身体が離れる。
「…早いな」
ふふん、と鼻で笑われて、羞恥と屈辱に顔が赤くなる。
俺は、上半身を机に預けて火照った頬を机に押し当てていた。
「勿論、これで終わりじゃねえよな」
上島さんの言葉に、ゆっくりと身体を起こして振り返る。
上島さんは、俺の視線を捕らえると、見せつけるように白濁に濡れた自分の手をぺろりと舐めた。
「……!!!」
あんまりな光景に、一気に顔に血が上る。
「…真下は可愛いな」
上島さんは、目を細めると、そっと俺の頬に手を伸ばした。
濡れた手で頬を撫で、指先で唇を辿る。
「犯してくださいって云ってみな」
不敵に笑んだ口元。
俺を見据える強い瞳。
俺はまるで催眠にかかったみたいにぼんやりしたまま、上島さんの顔を見つめて、
ゆっくりと唇を開いた。
「犯して…下さい」
自分でもびっくりするほど、声が震えている。
「いいだろう」
上島さんは鷹揚に頷くと、ゆっくりと口の中に指を差し入れた。
わずかに自分の精液の味がして、顔をしかめる。
差し入れられた指に、おそるおそる舌を絡めて、上島さんの顔を窺う。
「綺麗な肌してんな」
いつの間にか、Tシャツがたくしあげられて、肌が露わになっている。
「楽しめそうだ」
上島さんは、俺の口から指を引き抜くと、Tシャツをはぎ取って、さっきと同じに
俯せに俺を机に押しつけた。
ジーパンが下着ごと床へと落とされる。
「っつ…」
いきなり後ろに俺の唾液に濡れた指が突っ込まれて、俺は思わず顔を顰めた。
もう随分、男とはヤってない。
「狭いな…」
上島さんの呟きに、精一杯身体の力を抜いてはみたけど、
もうずっと使っていなかった後ろは、指一本動かすのすらきつい程で。
「ちょっと待ってろ」
言葉と共に後ろから指が引き抜かれた。
かたかたと引き出しを開ける音。
「な、にっ…?」
不意に後ろに冷たいモノを塗りたくられて、身体が竦む。
「ワセリン。これ使えばちったあマシだろ?」
たしかに、かなりマシだった。
俺の後ろはさっきより、随分スムーズに指を受け入れる。
「慣れてるとばかり思ってたけど、そうでもねえんだな」
二本に増やした指で、俺の後ろをぐりりと抉りながら、上島さんが俺の背骨を辿るように舌を這わせる。
緊張でひくひくと震える俺の筋肉を楽しむように、音を立てて何度も口づけが落とされた。
「ダメだ…、もう我慢できん。イれるぞ?」
乱暴に指が引き抜かれる。
俺の返事を待つことなく、後ろに押し当てられた熱い昂り。
腰を掴まれたと思ったら、一気に熱い塊が俺を貫いていく。
「く……っ」
目も眩むような衝撃。
身体を灼く灼熱。
俺は、僅かに身を捩って、俺の体温で大分ぬるくなった机に爪を立てた。
腰を持ち上げるように突き立てられているせいで、俺のつま先が宙に浮く。
「ぁっ、あ、あっ、あぁ、あぁ、あぁっ!!」
不安定な姿勢で犯されながら、俺の声は次第に高さを増していく。
力強く突き上げながら、上島さんの手が濡れそぼった俺のモノを掴み上げた時には、
俺は部屋中に響く甘い声をあげていた。
「良い声だ」
いつもの話し声とは違う、深く張りのある声で、上島さんが俺に囁く。
頭の奥を痺れさせ、俺の思考を麻痺させる、たまらない声。
俺はいやいやをするように、首を左右に振りながら、身体をくねらせて激しく喘いだ。
俺の痴態に、上島さんの突き上げもますますスピードを増す。
「あ…も…、だ…め」
ぐいっと奥深くを抉られて、目の前がスパークする。
俺は、2度目の精を放ちながら、何度も身体を震わせた。
間もなく、上島さんも息を詰めて俺の奥へと注ぎ込む。
ゆっくりと俺に覆い被さる、汗ばんで熱い上島さんの身体が、途方もなく愛おしかった。


まるで夢の中のような情事を終えて、後始末をしている間、二人とも口をきかなかった。
くずかごにティッシュを捨てて、上島さんが椅子へどさりと腰を下ろす。
俺は、黙ったまま煙草に火をつける上島さんの前に突っ立っていた。
「じゃあ、これで…」
なんとなく決まり悪くて、顔があげられない。
俺は俯いたまま、ぼそぼそというとふらつく足を踏みしめてドアへと向かった。
「待てよ」
こうやって引き留められるのは、今日2度目だ。
俺はゆっくりと振り返った。
「俺、予定があるって云ったよな」
上島さんの言葉に、きょとんとしつつも小さく頷く。
「ほんとは、俺がお前を誘おうと思ってた」
…ぇえ!?
口をぱくぱくさせる俺をみて、上島さんがおかしげに笑う。
「お前から誘われて、びっくりしたけど、嬉しかった」
俺の顔を見ながら、少し照れたように云うその表情は、俺がみたことない顔で。
「今夜は付き合ってくれるよな?」
断定するように云われた言葉に、俺は黙って抱きついた。


え〜、なんなんでしょう、コレは?
ふっと思いついてだーっと書いてみました。
二人の関係はよく分かりません。ご想像にお任せv
これこそやおいだなあ。山も落ちも意味もないや〜
でも、えろ楽しかったしいいや〜(笑)