「これは何?プレイの一種なの?」
軽く髪を掴まれて、床に手を付く。
目隠しをされているせいで、状況がよく分からなかった。
「いや、ただ単に今、金無くてさ〜」
だるそうな声に、僕は小さく唇を噛んだ。
「良いの?彼氏あんなこと云ってるよ〜?」
からかうように耳に囁かれる。
僕は何も言わなかった。
「いんだよ。もともと仕込んだの俺なんだし、コイツは俺のだし」
そうだよ。僕は仁のだ。
「俺の云うこと聞くのが好きなんだから。なあ?」
頷く。
無視されて、構って貰えないよりは、このほうがずっとイイよ。
「へえ。健気じゃん」
笑い声と共に、頬に熱いモノが触れた。
「口開けろよ」
云われるままに、大きく口を開く。
口の中に、既に固く張り詰めたモノが押し込まれ、背中を熱い手のひらが這う。
「へえ。上手だね・・・」
懸命に舌を這わせていると、掠れた声が降ってきた。
「肌も白くてキレイだし」
僕の身体を撫で回してる男の声も、熱を帯びている。
「あずさは乱暴にされた方が、感じるんだよな?」
笑いを含んだ声に、身体が竦む。
「へえ、そうなんだ・・・」
途端に、後頭部に置かれた手に力が込められた。
奥まで押し込まれて、ぐっと低く喉が鳴る。
「何されても感じる淫乱だから。可愛がってやってよ」
仁の手に、身体を這い回っていた手が、胸へと伸びてきた。
胸を這い回る手に、乳首をきつく掴まれて、身体が震える。
「ほんとだ。喜んでる」
ぎりぎりと爪を立てられる痛みと、喉奥を深く抉られる苦しさに涙が出てくる。
それなのに・・・・
「もう、なんか出てきてるし・・・」
苦痛に慣らされた体は、勝手に反応してしまう。
嘲笑と共に半ば勃ちあがったモノを、きつく手の中に包み込まれて、僕は思わずしゃぶっていたモノから
口を離すと、身体を捩って小さく喘いだ。
「誰が口離せっつったよ」
いきなり頬を張られて、くらくらする。
僕は、すみませんと小さく謝りながら、自分から再び口を寄せた。
背中に冷たいローションが滴る。
思わず背筋を反らせると、ぬるぬるするローションの滑りを借りて、指が無造作に突っ込まれた。
「うっわ。きっつ・・・」
緊張しているせいか、うまく身体を緩められない。
中に突き入れられた指が、強引に僕の中をかき混ぜるようにして広げていく。
「慣れてるから、いきなり突っ込んじゃっても平気だぜ?」
仁ののんびりした声に、きゅっと後ろが締まるのが分かった。
仁は、今ではこんな風に解してから挿てくれる事も少なくなった。
慣らしもせずにいきなり挿れたり、僕に自分でやらせたり。
僕はそれがすごく苦痛・・・肉体的にも、精神的にも・・・だったけど、それを口には出せなかったし、
口に出さない事を、仁が分かってくれる筈も無かった。
前は優しかったのに・・・・
胸がぎゅうっと締め付けられた。
身体を強張らせる僕の後ろから、指が引き抜かれ、代わりに猛ったモノが押しつけられる。
緊張して締まった上に、ろくに慣らされてもいないそこを、無理矢理太いモノがこじ開ける。
苦痛のうめき声は、口の中を塞いだモノに遮られて、喉奥でくぐもった音を立てた。
後ろに突き入れられながら、乱暴に髪を掴まれて、がくがくと揺さぶられる。
上下を完全に塞がれて、苦しくてたまらなかった。
苦痛に蠢く舌と喉が、男への丁度良い刺激になるようだ。
男のモノが、口の中で一層嵩を増し、もうこれ以上は入りきらない、というところでずるりと引き抜かれた。
息を吐く間もなく、顔に熱いモノが振り掛けられる。
僕は、顔に白濁を受けながら、後ろで動く男に合わせて、淫らに腰を動かした。
「顔射されながら、腰振って、淫乱もいいとこだな」
嘲笑う声と共に、身体の下に手が滑り込む。
「あげくにべちゃべちゃに濡らして勃たせてるし」
ぐちゃぐちゃと濡れた音を立てて扱かれて、僕はあられもない声を上げながら腰を振った。
「云ったろ。酷くされたほうが感じる淫乱だって」
仁の声に、僕は濡れた顔を伏せて唇を噛んだ。
その淫乱なトコが好きだって云ったじゃない。
先端にきつく爪を立てられて、身体に電流が走る。
「ひっ・・・」
「あずさ、イくなよ」
低い仁の声が、耳に滑り込む。
途端に、僕は仰け反って放っていた。
引き絞るような内部の締め付けに、後ろに突っ込んでいた男も声をあげて中に迸りを叩き付ける。
脱力して床にくずおれる僕の耳に、耳慣れた足音が届いた。
反射的に顔をあげる。
いきなり顔を蹴られて、僕は床に転がった。
その拍子に、後ろからモノが抜け落ちる。
「イくなよ、っつっただろ?」
不機嫌な声と共に、前髪を掴んだ手が、僕の顔を上げさせる。
来る!
僕は目隠しの下でぎゅっと目を瞑った。
間髪入れずに頬が鳴る。
さっき、男に叩かれたのとは段違いの衝撃だった。
そのまま、左右の頬を続けざまに叩かれる。
ようやく髪を離された頃には、頬が灼けるように熱かった。
涙に濡れた目隠しがずれているのを、無造作に取り払われる。
「邪魔したな。続きどうぞ」
軽く僕を蹴って、仁が立ち上がった。
白濁に濡れた僕の顔を叩いたせいで、濡れた手を不快そうに振っている。
ぼうっと仁の後ろ姿を見つめている僕の身体に、再び手が伸ばされた。
意識が朦朧としているせいで、動きが鈍い僕の身体を、太い腕が引き上げた。
「じゃ、俺は上に乗って貰おうかな」
さっき、男が放ったモノでぐちょぐちょの後ろに、既に固くなったモノが宛われる。
僕は、男の腿に手を置いて、ふらふらする身体を支えながら、男の顔に背を向けて
ゆっくりと身体を沈めた。
この体勢は、大嫌いだけど慣れている。
仁はこの体位が好きで、しょっちゅう僕にこの体位でさせたから。
僕が、仁に背を向けて腰を使っている間、仁は好きなことをしていた。
煙草を吸ったり、本を読んだり、テレビを見たり。
僕は、仁がイくまで上で腰を動かし続け、自分で自身を慰める。
ものすごく、みじめだった。
男の上で、いつもするように腰を蠢かしながら、目の前に突き出されたモノに舌を這わせる。
自分の中に注ぎ込まれた白濁に濡れたモノを舐めながら、男の手に導かれるままに、逞しい男の腰に腕を回す。
僕は、目の前の男の腰にしがみつくようにしながら、必死で腰を上下させ、濡れたモノを口に含んだ。
「二回目だっていうのに、イイ締めつけ」
よろよろする俺の腰を支えながら、下から男が突き上げる。
その度に、口に含んだ男のモノが喉に刺さった。
「ん・・・おしゃぶりも上手だ」
男の手が、僕の胸を摘み上げる。
僕は身体をくねらせながら、貪欲に上下の口で男達を貪った。
この二人の快楽に奉仕することが、今の僕に下された命令なのだ。
下から突き上げる男の動きに合わせて、中のモノをリズムよく締め付ける。
喉の奥に先端を擦りつけるようにして刺激してから、唇を窄めて扱きあげる。
どれも、仁に仕込まれた事だ。
仁の命令に従って、仁に仕込まれた通りに動く事だけが、今の僕の喜びだった。
続けざまに男達が放つ。
喉奥に放たれた白濁を飲み下しながら、身体を震わせて最奥に流し込まれた迸りを受け止める。
息を荒げながら、二人はゆっくりと僕から離れ、僕は崩れるように床に倒れた。
ふうっと意識が遠くなる。
僕は白濁にまみれたまま、気を失った。

「おい、起きろ」
身体を揺さぶられて、我に返る。
うっすらと目を開けると、仁が立って僕を見下ろしていた。
「出かけてくる。夕方には帰るから、飯作ってといて」
緩慢に頷く。
「あ、あと床も掃除しとけよ。お前が汚したんだから」
じっと仁を見上げると、仁は苛立たしげに口を開いた。
「返事!」
僕は目を伏せると、掠れた声ではい、と小さく返事をした。
ばたん、と大きな音を立てドアが閉まる。
僕は、仁が出ていったドアをうつろな目で見つめていた。