今日も残業か・・・・
パソコンの時計は10時過ぎを指している。
俺は疲労とストレスで半ばボロボロになりながら、霞む目で、パソコンのモニタを見つめた。
ついさっきまで、指導係が残って俺の仕事を監視していたのだけど(あくまで監視してただけで、手は全く貸してくれない)
その人はもう帰ってしまって、今、この広い部屋の中に残っているのは、俺とあと一人、1年先輩の三浦さんだけだった。
暗いオーラを漂わせながら仕事をしている俺と裏腹に、斜め向かいの先輩は、夜食らしいハンバーガーをスゴイ勢いで平らげながら(あれは一体何個目だろう・・・?)鼻歌混じりにパソコンに向かっている。
俺は小さく溜息をついて、一刻も早く帰れる事を祈りつつ、目の前の仕事に集中した。

「どうした!元気無いな?」
急に勢い良く肩を叩かれて、俺はびっくりして飛び上がった。
慌てて後ろを振り向くと、先輩が笑顔で俺を見下ろしている。
「イヤ・・・ちょっと体調悪くて・・・」
俺はボソボソと云って、しくしくと痛む胃の辺りを押さえながら、側に立つ先輩を見上げた。
大柄で真っ黒に日焼けしていて、見るからに健康そのものといった風情の先輩は、俺の顔を見ると心配そうな顔をして、俺の横の椅子を引き寄せた。
「ホントだ。あんま顔色良くないな・・・」
椅子に座り込んだ先輩にじっと顔をのぞき込まれて、俺は力無く笑ってみせた。

中堅出版社に入社して3ヶ月目。
2ヶ月間のハードかつ理不尽な新人研修を終え、配属された先は、会社中の部署の中でもっともハードだと云われる販売営業部だった。
ようするに、この出版社が出している教育教材を売り歩く行商が俺の仕事で・・・。
朝から小学校の名簿と首っ引きで電話を掛けまくり、ちょっとでも興味をもって貰えたら、教材抱えて訪問販売。
ノルマは厳しく、現実も厳しい。
もともと口べたな上に、体力も無い俺は、この部署に配属されて1ヶ月足らずで早くも限界を感じていた。

「どっか悪いのか?」
「ちょっと胃が・・・」
最近胃薬の世話にならない日は無い。
胃痛の原因は山ほどあるけど、そのうちの一つが目の前のボードに貼ってある営業成績グラフで・・・。
無意識のうちにグラフを見上げた俺の視線を追って、先輩も横を向いた。
「あ〜、ヒドイな・・・」
グラフを見た先輩が、ぼそりと呟く。
ヒドイ、と云われて俺はますます落ち込んだ。
俺のグラフはよく気を付けて見ないと分からないぐらいに低く・・・勿論最下位。
因みに先輩のグラフは、俺の10倍くらいはありそうなほど高く高くそびえていて。
劣等感と情けなさに深く溜息を吐いた俺の背中を、明るく笑った先輩が軽く叩いた。
「しょーがないさ。まだ、入ったばっかやん。もう暫くしたら、仕事にも慣れてきて、もっと契約取れるようになるさ」
優しく諭すように云われて、俺はのろのろ顔をあげた。
「そうでしょうか・・・」
「そうだよ!」
先輩が大きく頷く。
その、自信に溢れた言い方に、俺は妙に安心して思わず笑ってしまった。
最近、こんな風に笑ったことなど無い気がする。
同期は皆ライバルで容赦なく俺を蹴落とし、指導係という名の先輩には見放され、上司からは小言と叱責の嵐で。

「ちゃんと飯食ってるか?」
笑った俺の頬に、先輩が手を伸ばす。
胃が痛いせいでろくに飯も食えなくて、俺はこの一ヶ月で大分痩せた。
「イヤ、あんまり・・・」
頬を撫でる手が擽ったくて、首を竦める。
「これから、暑くなるし食わないと倒れるぞ?」
真剣な顔でのぞき込まれて、俺は小さく頷いた。
この人、どうして俺の身体の事なんか心配してくれるんだろ・・・?
やっぱり、精神的にも肉体的にも余裕ある人は違うなあ。
俺なんか、他人の心配する余裕ゼロだもんな・・・
俺がごちゃごちゃと色々な事を考えている間に、頬を撫でていた先輩の手が、首筋を辿って肩へと下りてきていた。
急に強く肩を掴まれる。
びっくりして、目の前の先輩の顔を見つめると、先輩は怖いほど真剣な顔をして、俺の事をじっと見ていた。
「な・・・・何か?」
恐る恐るお伺いを立てる。
「好きだ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?
云われた言葉を理解する間も無く、先輩の顔が急接近してきた。
ぶつかる!と思って反射的に目を瞑る。
途端に唇が、僅かに濡れて柔らかなもので覆われて・・・・
呆然としている間に、強引な舌先が歯列を割って忍び込んできた。
思わず身体を強張らせる俺の頬を両手で包んで、深く舌を差し入れられる。
一体なにがどうなっているのやら、さっぱりついていけてない俺は、先輩の為すがままに翻弄されていた。
舌を絡め取られて、きつく吸われる。
ようやく唇が離された頃には、俺の頭の中は真っ白で、だらしなく僅かに開いた唇の端から、流し込まれた唾液が一筋こぼれていた。

「ずっと、好きだったんだ。一目見た時から・・・・」
きつく抱きしめられて、耳元で熱く囁かれる。
「最近お前元気無いし、心配で・・・二人きりになれる機会を待ってたんだ」
・・・・・・んじゃもしかして今日の残業は・・・
「今日はどうしても、二人きりになりたくて・・・・」
やっぱりワザと残ってたのか・・・。
俺は妙に納得した。
営業成績ナンバーワンの先輩は、仕事も速くて滅多に残業する事は無い。
それなのに、なんで今日はこんな遅くまで残ってるんだろう?ってずっと不思議に思ってたのだ。
「お前は俺の事キライ?」
先輩は、身体を離すと真剣な顔で俺を見つめた。
好きもキライも・・・・まともに話したの今日が初めてだし・・・
っていうか!
「俺、男ですよ?」
「知ってるよ」
「男なのにどうして・・・・?」
「俺だって分かんないけど、気づいたら好きになってたんだ」
俺の目をじっと見つめる真剣な黒い瞳。
考えてみたら、告白されたのって生まれて初めてだ・・・
俺は先輩の顔を見返した。
こんな真剣な目で見つめられるのも・・・・
「キライ・・・じゃ、無いです」
気づいたら、そう云っていた。
先輩の顔に、みるみる間に笑みが広がる。
「やっっっったあ!マジで?付き合ってくれる?」
え?ちょっと、待って。付き合うだなんて一言も・・・・・
満面の笑みに気圧されて、言いかけた言葉を飲み込む。
「そうと決まったら、さっさと仕事終わらせよ。俺が手伝っちゃるから」
俺の返事を待たずに、先輩は猛然とパソコンに向かい、俺は展開の早さに付いて行けずに、ぼーっとそれを眺めていた。

 

「ちょ、ちょっと待って・・・・」
「いいから、力抜いて。リラーーックス!」
「やっ、やだっ!!」
俺は半泣きで、先輩の肩を押した。
「イイ子にしてろって」
やんわりと手を掴まれて、押さえられる。
先輩は、舌を出して唇を舐めると、ゆっくりと俺の足の間に顔を伏せた。
「うぅ・・・・・っ」
ぬめる口腔に自身を含まれて、快感よりも羞恥が先に立つ。
俺が身体を震わせる度に、仮眠室の粗末なベッドがぎしぎし鳴った。

事の始まりは、この一言。
「最近、よく眠れなくて」
俺のこの言葉を聞いた先輩は、ものすごく心配してくれて・・・
「睡眠は健康の第一歩だからな。眠れないっていうのは良くない」
先輩は真顔で云ったあと、ふと思いついたように俺の顔を見た。
「そうだ。ぐっすり眠れるとっておきの方法があるんだけど」
試してみる?
云われて頷いた俺が連れ込まれたのは、ほとんど使われる事のない仮眠室だった。

「ん・・・ぅ・・う・・・」
静かな部屋に響く、自分のヘンな声が恥ずかしくて、懸命に声を殺す。
先輩の舌が、俺を根本から先端まで丁寧に舐めしゃぶり、器用な指先が双玉を探り、竿を撫でる。
俺はあっと言う間に追いつめられて、下肢をぴくぴくと痙攣させた。
「も、ダメっ!イく・・・・っ」
悲鳴のような声で叫んだ途端に、堪えきれずに放ってしまう。
びくびくと身体を震わせながら、断続的に放った精液を、先輩の口が余すところなく受け止めて、あっさりと飲み下す。
吐精の快感と脱力感に呆然としていると、先輩の大きな手のひらが、俺の額に張り付いた髪を、優しく掻き上げてくれた。
「気持ちよかったか?」
笑顔で見下ろされて、呆然としたまま小さく頷く。
ホント・・・・・・めちゃめちゃ気持ちよかった。
頷く俺を見て、先輩は笑みを洩らすと、そっと俺の額に口づけた。
「すっげえ濃かった。久しぶりだったんだろ?」
顔をあげた先輩が、にやりと笑いながらイヤらしく唇を舐める。
図星を指されて、俺は真っ赤になると先輩の視線から顔を逸らした。
「んじゃ、第ニラウンドに入ろうか」
え?
先輩の明るい声に、思わず先輩の顔を見上げる。
「だーいじょうぶ!今よりもっとキモチイイから」
先輩の爽やかな笑顔が、かえって俺の心配を煽る。
俺の身体へと、先輩の手がゆっくりと伸ばされ・・・・・
抵抗も虚しく、俺は裸に剥かれてしまった。

 

「も・・・止め・・・っ」
全身を隈無く舌で辿られて、体中しびれたような感じがする。
拒絶や、制止を口にする度に、唇を唇で覆われた。
深く激しく口づけられて、思考と身体がとろけていく。
散々嬲られた胸の尖りは、真っ赤に色づいてぷくりと立ち上がり、下腹部は先程放った2度目のモノで、べたべたに濡れている。
そして、放ったばかりだというのに、俺のモノは早くも緩く立ち上がりかけていて・・・、いやが上にも俺の羞恥を煽った。
「力、抜いててな?」
優しく耳元で囁かれたかと思うと、俺の放った白濁を絡めた先輩の指先が、後ろへと伸ばされた。
「な、何っ!?」
信じられないような場所に、先輩の指先がつぷりと入り込んでいる。
俺は、異物感と微かな痛みに、半ばパニックになって先輩の顔を見上げた。
「大丈夫。気持ちよくなるだけだから。安心して・・・?」
とろりと柔らかな声で、耳元に囁かれる。
耳の奥に響くようなその声は、妙な鎮静効果があって・・・・
俺はゆっくりと目を閉じて、先輩の手に身を任せた。
ぬめる指が、自分の中を出入りする初めての感覚。
ものすごく気持ち悪いんだけど、それだけじゃない。
後ろの指を抜き差ししながら、先輩の舌がチロチロと濡れそぼった俺のモノの先端を舐めるせいで、快感と不快感がごちゃまぜになってよく分からない。
気が遠くなる程、長い長い時間掛けて先輩は俺の後ろを解していた。
俺がイきそうになる度に根本を戒めて、イかせないようにしておいて、先輩の長くて太い指を、たっぷり3本飲み込めるようになるまで、執拗に後ろを抉り掻き回す。
「い、イかせてっ!も、ダメ・・・・ぅう・・・っ・・・」
俺は、もう完全に我を忘れて泣きじゃくり、淫らに腰を振って先輩の首にしがみついた。
「ん・・・・分かった」
小さく頷いた先輩が、後ろから指を引き抜き、代わりに火傷しそうに熱いモノを、俺の後ろに押し当てる。
ぐぐっと押し込まれざま、きつく戒められていた根本の指が離される。
「んあああああっ!!!」
俺はきつく背中を反らして、3度目の精を思いきり放った。
「すご・・・・、お前の中、めちゃめちゃ熱い・・・・」
先輩の掠れた声に、半ば飛びかかった意識を引き戻される。
「動くよ?」
言葉と共に腰を引かれて、俺は力の入らない腕を、必死で先輩の背中に回した。
大きな両手が俺の膝裏を抱え上げ、割り広げる。
俺は信じられないような淫らな格好で、がくがくと先輩に揺さぶられていた。
熱く太く硬いモノが、勢いよく俺の後ろを出入りする。
濡れたイヤらしい音が、結合部から絶え間なく響き、俺のあられもない声と混じる。
先輩の手が俺の足を掴み上げ、肩へと掛ける。
「ひ・・・・・っ!」
角度が変わって一層奥まで貫かれ、俺は悲鳴をあげて仰け反った。
先輩の広い背中に爪を立てる。
深く繋がったまま、一際奥を抉るようにして突かれ、俺は苦痛と快感に失神しそうになりながら、4度目の精を放っていた。
思いきり引き絞った内部に誘われるように、先輩も俺の奥深くへと熱い迸りを叩きつける。
身体を満たす熱く激しい奔流に、俺は押し流されるように失神していた。

 

「おっはよーう」
・・・・・・・・・・・・・ココはドコ?
明るい声に目を覚ました俺は、全く自分の居る場所が分からなかった。
呆然としている俺を、笑みを浮かべた先輩がぎゅっと抱きしめて、ちゅっと頬に口づける。
「うわああああっ!!!!」
瞬時に今いる場所と、昨夜の状況を思い出した俺は、思わず叫んであたふたと部屋を見回した。
ていうか、今何時だ?
どう考えたって、この明るさは昼間だ。
視界の端に、時計が映る。
全身の血が、音を立てて引いていくのが分かった。
10・・・・・・時・・・スギ?
新入社員の出社は8時半まで。
そしてダメ社員な俺は、毎日7時半には仕事を始めている。
規律にやたら厳しいこの会社では、遅刻は厳罰の対象となり・・・・それ故誰も遅刻しない。
もうダメだ・・・・
絶対クビだ・・・・・
ていうか俺、ハダカだし・・・・・・・・・・
ぱたりとベッドに倒れた俺を、先輩は慌てて見下ろした。
「どうした?腹でも減ってるのか?」
先輩はと云えば、もうきっちりとスーツを着込んで、いつも通りの敏腕営業マンの顔をしていて。
まるで昨晩の出来事が夢みたいだ。
俺は何も考えられなくて、考えたくなくて、半ばヤケになってシーツに顔を埋めていた。
「あ、お前今日から俺の部下になったから」
さらりと云われた言葉を、聞き流しかけて、びっくりして顔をあげる。
「え?」
「今日はもう、出社して、俺が営業に出したことになってるし」
「・・・・・・・は?」
「あ、これ新しいワイシャツと下着。あと匂わない湿布」
「・・・・・・・へ?」
「動けそうだったら、午後から一緒に営業回ろうな。動きたくなかったら、車乗ってるだけでイイから」
先輩の手が、優しく俺の髪を撫でる。
・・・・・・よく分からないけど、クビにはならなくて済んだのか・・・?
ぽかんとしている俺を抱き寄せて、先輩がそっと俺の髪を撫でる。
先輩の胸の中は、この上なく俺を落ち着かせた。
「これから・・・・よろしくお願いします」
胸の中から、先輩の顔を見上げる。
「こちらこそ」
先輩は営業用でない笑顔で笑うと、俺の額に一つ口づけを落としてくれた。


◆あとがき◆
2時間ほどでダーっと書いてしまいましたが・・・・。これってリーマンモノになってますか?なってませんね。自分的にはなってません。減点。エロシーンのみを書く練習がしたいのに、ごちゃごちゃ設定を書かないと気が済まない(笑)エロ企画第1段にして、もう既に滑ってる気が山盛りします(笑)明日はどういうシチュエーションでエロろうかな〜(妄想は尽きませんね・笑)