せっかくの春休みだというのに、僕はつまらない日々を送っていた。 ナオさんが、学校の用事で一週間も遠くに行っていたからだ。 ナオさんは、毎日電話もメールもする、と約束してくれたけど、僕は断ってしまった。 僕はきっと、一日中それを待ってしまうだろうし…、余計にナオさんが恋しくなるから。 電話もメールもいらないから、だから、一秒でも早く帰ってきて。 僕の我が儘なお願いに、ナオさんは「了解!」と笑って、僕の頭を撫でてくれた。 ナオさんのいない一週間はものすごく長かった。 昼間も夜も、長くて長くて、僕は気づけばナオさんの事ばかりを考えてる。 毎日カレンダーを眺めては、帰ってくる日を指折り数えた。 そんなこんなでようやく乗り越えた一週間。 やっとやっと、ナオさんに会える。 僕は、空港行きのバスの中で、期待にはちきれそうな胸を抱えて窓の外を眺めていた。 嬉しくて嬉しくて、どうしても笑顔になってしまう。 窓に映る自分の顔が、あまりにひどいにやけ顔で、僕は慌てて無表情を取り繕った。 万全すぎる下調べのおかげで、全く迷いもせずに、ナオさんが出てくるゲートまで辿り着き、そのまま待つこと20分。 人混みの先頭にナオさんが見えて、僕は大きく手を振った。 「まこちゃん!」 すぐに気づいたナオさんが、これ以上ない早足で歩いてきてくれる。 「ナオさん」 ようやく手の届く場所まで来たナオさんの胸に、僕は人目もはばからず飛び込んだ。 「お帰りなさい!」 久しぶりのナオさん。 肩口に顔を埋めて、存分にそのぬくもりと匂いを確かめる。 「ただいま」 ナオさんは、嬉しげに言うと、ぎゅうぎゅう僕を抱きしめてくれた。 二人で手を繋ぎながら、空港内をぶらぶら歩く。 「お昼食べた?」 「うん。ナオさんは?」 「飛行機の中で弁当食ったけど、まだ入るな〜」 ナオさんは笑いながら、僕の顔を覗き込んだ。 「僕の泊まってた泊まってた所、ごはん最悪やってん。も、おいしくないのなんのって。まこちゃんの作るごはんがどんなに恋しかったことか」 真顔で言うナオさんに、思わず笑ってしまう。 「何でもナオさんの食べたいもの作るよ」 「楽しみ」 ナオさんは嬉しげに笑うと、ふと案内板の前で立ち止まった。 「どうする?せっかくやしあちこち見ていく?お茶でもしようか。ずっと待ってて疲れたやろ」 何が飲みたい?と言い出したナオさんに、僕は慌てて首を振った。 「ううん。帰る」 僕の言葉に、ナオさんが驚いたように振り返る。 「もう帰りたい?」 顔を覗き込んでくるナオさんに、僕は僅かに顔を赤くすると、俯いたままもじもじと言った。 「早く…ナオさんが欲しい」 繋いだ手をぎゅっと握りしめ、本心を漏らす。 本当に、一刻も早く帰りたかった。 早く二人きりになって、ナオさんを心ゆくまで味わいたい。 「もー。まこちゃん反則」 ナオさんは、天を仰ぐと、大げさにため息をついた。 「すっげえ我慢してたのに。そんな可愛いこと言われたら、もう駄目やん」 ナオさんは、僕の手を握り直すと、ぐいぐい引っ張って歩き出した。 「帰るんじゃないの?」 帰りのゲートとは別方向に歩き出したナオさんに、とまどって聞くと、ナオさんは顔を蹙めて首を振った。 「も、無理無理。タクシーの中で襲いそうやもん」 まるっきり、冗談に聞こえないのがコワイ。 「今日はもう、お泊まりしてこ!」 ナオさんの指さす先に、空港直結ホテルの案内。 僕は、大賛成で頷いた。 早めのチェックインをさせてもらって、エレベーターに乗り込む。 二人して、階数表示を眺めながら、僕たちはずっと黙っていた。 この僅かな時間さえも、もどかしくてたまらない。 縺れるようにして部屋の中に入り、ドアを閉めるなり、バッグをほっぽり出したナオさんに思い切り抱きしめられた。 息もできないほどの激しさが、嬉しくてたまらない。 「ナオさん、ナオさん」 僕は、腕を伸ばしてナオさんの首にしがみつくと、背伸びして口づけをねだった。 あっという間にぬめる舌が入ってきて、僕の舌に絡みつく。 「んふっ、ん、ん…っ」 久しぶりのキスに、くらくらしてすぐに膝が震えてくる。 それに気づいたのか、ナオさんは口づけたまま、僕の身体を腕に抱え上げてくれた。 お姫様だっこで運ばれる先は、勿論ベッドの上で、そっとベッドに下ろされたと思ったら、キスが一段と深くなる。 ナオさんの手が、僕の髪を両手で慈しむように撫で、僕はナオさんの重みを幸せいっぱいで受け止めながら、混ざり合った唾液を飲み下した。 「はぁっ」 ゆっくりと離れていく唇に、名残惜しくて舌が追う。 ナオさんは、すっかり潤んだ僕の目元を指先で優しく撫でながら、掠れた声で囁いた。 「僕、すっごい飢えてるから…、ちょっとスゴイかも」 冗談めかしていいつつも、その目は結構本気っぽくて、期待に背筋がゾクゾクする。 「僕も…スゴイかも」 とんでもなく、淫らなことをしてしまいそうだ。 「なんか…、まこちゃんにヒドイことしちゃいそう」 そんなことを言いながら、世にも優しい口づけを、僕の額に一つ落とす。 「して。もう、なんでもして。ナオさんになら、何でもされたい」 ナオさんの頬を両手で挟んで、目と目を合わせてそう言うと、ナオさんはにやりと笑って僕の手掴んだ。 「そんな可愛いこと言われたら、本気で手加減できんくなるやん」 僕の指を舐めながら言うナオさんに、僕はぶるりと身を震わせた。 「よく見せて」 僕をすっかり生まれたままの姿にすると、ナオさんはじっくりと僕を眺めて言った。 全く遠慮のない視線が、身体中を這い、僕は途端に恥ずかしくなって身を縮める。 「全部見せて。まこちゃんの、全てが見たい」 ナオさんは、囁くように言いながら、僕の膝をぐいと立て、挙げ句に大きく広げさせる。 もう、僕の身体でナオさんに見られていない場所なんて、ひとつもない。 けれど、やっぱり恥ずかしいことは恥ずかしくて…。 赤くなった顔を背けていると、ナオさんは笑って「こっち向いてよ」と、僕の膝をくすぐった。 仕方なしにナオさんの顔を見つめ、照れ隠しにちょっと睨む。 そんな僕に、ナオさんはますます笑顔を大きくして、嬉しそうな声で言った。 「ちょっと見ない間に、ますます可愛くなっちゃって」 ナオさんの手が、ゆるく勃ちあがってふるふる揺れている僕のモノに伸びる。 「毎日毎日、まこちゃんのこと思いだしてたけど…こんなに可愛くて色っぽかったっけ?やっぱ、実物は違うね。最高」 ナオさんに、可愛いと言われるのはもう慣れっこだけど、ここまで言われるとさすがに照れる。 僕はもう、一人で恥ずかしい思いをするのに耐えられなくて、ナオさんの服を手で引っ張った。 「ナオさんも、脱いで!」 「らじゃらじゃ」 ナオさんは、おどけて言うと、ぱっぱと服を脱ぎ捨てた。 南の方に行っていたナオさんの身体は、全体的に少し日焼けしていて、ちょっと精悍なからだつきになったように見える。 顔も薄く日焼けしていて、なんだかかっこよくなった。 普段のナオさんは、ほやんと気の抜けた優しい顔をしているのだけど、真剣に勉強している時だけは、一変して、きりりと引き締まった顔になる。 今日のナオさんは、まだ勉強モードが抜けきっていないのか、その二つが微妙にミックスしていて、くらくらするほど素敵だ。 覆いかぶさってくるナオさんにぎゅっと抱きつき、触れ合う素肌の温もりに、僕は思わずため息を漏らした。 しばらくじっと、黙ったまま抱き合って、久しぶりの心地よさを存分に味わう。 「まこちゃん」 名前を呼ばれて、うっとりと閉じていた目をあけると、唇に優しいキスが落ちてきた。 あ、と思った時には、キスは耳に移動していて、やんわりと耳たぶを噛まれたかと思うと、ついっと首筋を舐められる。 「はあっ、あ、ん…」 ナオさんの唇が落とされた場所から、甘い余韻が広がって、体中を満たしていく。 僕の感じる場所を知り尽くした手と唇が、体中をくまなく探り、僕をどんどん狂わせていった。 「うひゃっ」 ナオさんの舌がおへそを舐めて、思わずヘンな声が出てしまう。 「いつみても、ちっちゃくてかわいいおへそ」 ナオさんはなぜか僕のおへそが好きだ。 今日も、舐めたり、窪みに舌を入れたり、音を立てて吸い付いたり、好き放題している。 そのすぐ下で、物欲しげに揺れている僕のモノには、焦らすように触れてもくれない。 「も、触って」 まるでこらえ性のない僕は、ナオさんの手を取ると、足の間へと押し付けた。 ナオさんが、忍び笑いを漏らして、きゅっとソレを握り込む。 「一人でした?」 ゆるゆる手を動かしながら聞いてくるナオさんに、僕は正直に答えた。 「んっ、した…」 「何回?」 「一回、一回だけ…っ」 二日目の夜、ナオさんのことを考えていたら我慢できなくなって、一度だけ自慰をした。 やってる間は夢中で手を動かしたけど、出した途端にがっくりきた。 あの一人でした後の、虚無感といったらない。 「ナオさんに会い、たくて、さみしくて…っ」 気持ちよくて、息が乱れる。 「ごめんねえ。さみしい思いさせて」 ナオさんは、ゴメンネ、と言いつつちゅっと僕の先端に口付けた。 「ナオさんは?」 「僕はきっちり溜めてきた」 どこか自慢げに言うナオさんに、思わず笑ってしまう。 「もう、一人じゃ抜けなくなったみたい。可愛いまこちゃんがいてくれやんと」 言いながら、僕の手を自身に導く。 「えっ」 思わずそう言ってしまうほどの、質量。 こ、こんなに大きかったっけ。 「どした?」 「何でも…ナイ」 けど、こんなにおっきくて固いモノをこれから自分の中にいれるかと思うと…いろんな意味で身体が震える。 僕は思わずごくりと唾を飲み込むと、火傷しそうに熱いモノを、そっと扱いた。 僕の手の中で、それは嬉しげに震え、ますます勢いを増す。 これ…ちょっとヤバいかも。 このままじゃ、絶対入らない。 僕は、いったん手を離すと、身体を起こして代わりにナオさんの手を引っ張った。 「口でさせて」 ナオさんの身体をベッドに押し付け、足の間に潜り込もうとした僕を、ナオさんが止める。 「僕もさして」 その言葉の意味を悟って、僕はちょっと逡巡した。 何度かしたことはあるけれど、その姿勢はあまりにも恥ずかしくて… とはいえ、もうそんなことは言ってられないほど、身体はナオさんを欲しがっている。 僕は、仕方なしにナオさんの顔にお尻を向けて、ナオさんの身体を跨いだ。 ナオさんの手が、逃すまいとでもいうように、僕の腰をがっしり掴む。 「さ、どうぞどうぞ」 背中から声がしたかと思うと、誘うようにナオさんの腰が上下に動いた。 勃ちきったモノが、それに合わせて揺れるのに、思わず笑って手を伸ばす。 「いただきます」 「召し上がれ!んでもって、僕もいただきます」 僕が、ナオさんのモノに手を伸ばしたのと同時に、ぺろりとお尻のほっぺたを舐められた。 くすぐったくて、身を捩りながら、ナオさんのモノをお返しに舐める。 「はふ」 手にしたそれは、あまりに熱くて、舐める舌が溶けそうだ。 いったん、口にしてしまったら、もう止まらなくなって、僕は夢中でナオさんのモノにむしゃぶりついた。 「ん、ん…っ」 じゅる、と卑猥な音をたてながら、舌を絡めて吸い上げる。 「まこちゃんすご…気持ちイイ」 ナオさんの掠れた声は、いかにも気持ちが良さそうで、僕はすっかり嬉しくなると、根元からきゅきゅっと扱きながら、顔を上下に動かした。 「僕ばっかり、気持ちよくなってちゃあかんやんね」 小さな呟きと共に、ナオさんの手が、僕のお尻をぐいっと左右に広げる。 「ひぁっ」 無防備に晒された場所に、ナオさんの舌が伸びてきて、僕は身体を震わせた。 ナオさんの舌が、ひくつく僕の後ろを何度も何度も舐めるから、僕はふにゃふにゃに力が抜けてしまって、すっかり口がお留守になる。 ナオさんのモノを握ったまま、口を開けて喘いでいると、ナオさんの舌がぐにっと中に入ってきた。 「あぁっ、あ、あんっ」 ぬめる舌で暴かれるたびに、僕のソコがいやらしくひくついているのが分かる。 僕は、なんとか手を動かしては、ナオさんのモノに舌を伸ばしたけれど、たっぷりと唾液を流し込まれたソコに、ナオさんの指が突き入れられる頃には、もうナオさんにされるがままになっていた。 ずちゅっと濡れた音を立てて、ナオさんの指が出入りする。 「まこちゃん、もうヌレヌレだね」 ナオさんの言うとおり、僕のモノは勃ちきって、さっきからダラダラとはしたない露を零しっぱなしだ。 「も、ダメ。我慢できない…っ」 ナオさんの指を、左右2本ずつ銜えこんでも、まだ足りない。 僕は、ぎゅうぎゅうと指を締め付けながら、卑猥に腰をくねらせた。 「も、欲しい?」 埋めた指を交互に抜き差ししながら、ナオさんんが聞いてくる。 「欲しい!」 叫ぶような僕の言葉に、ナオさんは「よしきた!」と、僕の身体をひっくり返した。 「挿れるよ」 「んっ、欲しい…っ」 ぴたりと押し当てられる熱に、僕のソコが物欲しげにひくついているのが分かる。 「あぁっ、あ、ああぁっ」 一気に貫かれた衝撃に押し出されるように、僕はあっけなく達していた。 「あれ、挿れただけでイっちゃった?」 からかうように、小さく腰を揺らされて、びくびくと身体を跳ねさせる。 「あっ、やだ、待って…っ」 気持ちよすぎて、どうにかなりそうだ。 「久しぶりやからかな。なんだかビンカンになってるね」 ナオさんの手が、白濁にまみれた僕のモノを、きゅっと握る。 「やっ、触っちゃ…」 イったばかりのモノに触れられて、僕は身体を強張らせた。 「まだまだイけるよね」 ナオさんの腰が、ゆっくりと律動を刻みはじめる。 「あっ、あ、あんっ」 すぐに激しくなる突き上げに、僕は首を反らして喘いだ。 身体の奥の奥まで、いっぱいに満たされて、あまりの気持ちよさと幸せに、思わずぽろりと涙が零れる。 「まこちゃん」 ナオさんは、根元まで僕を貫いたまま、ぎゅっと僕を抱きしめた。 「愛してる」 熱っぽい囁きと共に、深く口付けられる。 僕は、ナオさんの汗ばんだ背中に腕を回すと、夢中でその舌を貪った。 「愛してる」 口づけの合間に、何度も囁かれる言葉。 何度言われても、嬉しくて、きもちいい。 ナオさんの愛の言葉に、僕はうっとりしながら、たくましい腰に足を絡める。 「もっと愛して」 欲張りな僕の言葉に、ナオさんはふふっと笑って、ぐいと腰を突き上げた。 |