久しぶりにナオさんから入った”会いたい”のメール。
僕は、学校が終わるのを待ちかねて、ホームルームが終わるやいなや、教室を飛び出した。
ここ一週間、ナオさんは大忙しで、ナオさんちに遊びに行くことも、週末のデートをすることもできなかった。
でも、ようやく一区切りついたみたいだ。
僕は、弾んだ気持ちでナオさん家のドアを叩いた。
「まこちゃん!」
勢いよくドアが開いて、出てきたナオさんにいきなり抱きしめられる。
「久しぶり〜」
「ホントに」
僕らは、しばらく玄関でぎゅうぎゅう抱き合ってから、軽くキスを交わして部屋にあがった。
しばらく来ていない間に、ナオさんの部屋は足の踏み場も無いほど散らかっている。
「片づけようか?」
このままじゃ、ろくろく座る場所もないから、そう言ってナオさんを見上げると、ナオさんは首を振って僕を抱き寄せた。
「片づけなんかイイから…抱っこさせて」
その辺りにあったごちゃごちゃを、ざっとふちっこに寄せて座り込み、ナオさんがぎゅっと僕を抱きしめる。
僕は、大人しくナオさんに抱かれながら、くしゃくしゃと跳ねた髪や、トレーナー越しの背中を撫でた。
「やっぱり、まこちゃん抱っこしてると落ち着く…」
肩口に顔を埋め、しみじみとした口調で言うナオさんに、僕は気になっていた事を聞いた。
「ナオさん、ちょっとお疲れ?」
いつも通りの笑顔だけど、ちょっと元気がないように見える。
久々に会った割に、テンションもおとなしめだ。
「そ。ちょっとだけお疲れ。精神的にね〜」
精神的に、と聞いてちょっと心配になった。
だって普段のナオさんは、ストレス知らずの強い人だから。
「大丈夫?」
そっと顔を覗き込むと、ナオさんは手を伸ばして僕の頬をするりと撫でた。
「大丈夫。まこちゃんの顔見たら、元気出たし」
にっこり笑ったナオさんの顔は、いつも通りの底抜けに明るい笑顔に戻っていて、僕は心底安心した。
「でも、もちょっと抱かせてね。まこちゃんでストレス解消〜」
おどけて言うナオさんの身体をきゅっと抱き返す。
「僕でイイならいくらでも」
「ね、何かあったの?」
膝枕をしながら、目を閉じているナオさんの顔を覗き込む。
「あった。大学の論文がらみでいろいろと…」
目を瞑ったまま、ナオさんは少し顔を顰めた。
「大変だった?」
「そりゃあもう。オトナの世界は難儀でねえ…」
ナオさんはうんざりしたように言うと、髪を撫でている僕の手を捕まえて指先に口づけた。
「んでも、もう解決したし。溜まったストレスはまこちゃんに癒して貰うし」
舌が出てきて、指先を絡め取る。
僕は、ナオさんの唇を指先で辿りながら、僕も、と口を開いた。
「僕も、ナオさんに会えなくてすごく淋しかったから、ストレス溜まった」
ほんの少し拗ねたように言うと、ナオさんは僕の指先を口に含んだまま、目だけで笑った。
「んじゃ、そのストレスはスッキリ解消せんとね」
僕を見上げるその目は、何かを企んでいる目つきで。
「も、ナオさんに会えたから大分解消できたよ?」
笑ってナオさんの頬…ほんのちょっとひげがちくちくする…を撫でると、ナオさんはちゅっちゅと僕の指を吸い上げた。
「ナオさん赤ちゃんみたい」
指をしゃぶるナオさんは、コドモっぽいを通り越して、赤ちゃん返りしたみたいで、なんだかおかしくなる。
僕は、ナオさんの頭を抱くようにしながら、額や鼻筋を指先で撫でた。
「もっと撫でて」
すりすりと頭をすり寄せてくるナオさんが可愛くて、ぎゅうぎゅう抱きながら、そこら中にキスを落とす。
ナオさんは、嬉しげに喉を鳴らすと、身体を半回転させて、僕の下腹部に顔を押しつけてきた。
「まこちゃんの匂いがする」
笑いながらくんくん鼻を鳴らすナオさんに、僕は恥ずかしくなって、ナオさんの肩を軽く押した…
筈なのに、反対に押し倒されて、物が散乱した床に転がる。
「ストレス解消の仕上げに、まこちゃんの中にお邪魔してイイ?」
ちらりと視線を泳がせると、すっかりお邪魔する気まんまんの、ナオさんの股間が目に入る。
途端に、僕の下半身まで熱を帯びてきて…。
僕は黙ってナオさんを抱き寄せると、落ちてきた唇を受け止めた。
「ん…ぁ、ナ、オさん…っ」
深い口づけの合間に、ナオさんを呼ぶ。
こうやって抱きしめあってキスを交わしたら、どれだけ自分がナオさんに飢えてたかを実感した。
「まこちゃん」
甘く熱い、ナオさんの吐息。
僕らは、長い時間を掛けてたっぷりと互いの蜜を分かち合った。
「はぁ」
ごくりと混ざり合った唾液を飲み下して、ナオさんを見上げる。
唇も瞳も、はち切れそうなあの場所も、いつしか潤みきっていた。
すっかり服を脱がされて、触れあう素肌が気持ちイイ。
「ナオさん。ナオさん…」
僕は、腕を伸ばしてナオさんにぎゅっとしがみつくと、肩口にきつく口づけた。
身体中を滑る暖かなナオさんの手のひらに、ゆっくりと気持ちと身体が溶けていく。
僕は、息を乱しながら、うっとりとナオさんの愛撫を感じていた。
首筋から、胸元へと降りてきた唇が、柔らかに尖った胸元を口に含む。
くるくると舌先で転がされて、僕は甘い声をあげながら、ナオさんの髪をくしゃくしゃとかき混ぜた。
ナオさんの舌の先で、その場所はあっという間に硬くしこり、紅く濡れて淫らな色を放つ。
尖りきった胸先を、きゅっと指先で潰されて、僕の身体がぴくりと跳ねた。
そこら中にきつく口づけを落としながら…ナオさんが辿った後には、点々と跡が残されていて…ナオさんの唇は、下腹部へとたどり着く。
「も、ヌレヌレ…」
濡れそぼつ僕のモノに、ナオさんはいやらしく笑って僕を見上げた。
思わず赤くなって、ぎゅっとナオさんを睨む。
途端にすっかり勃ちあがって、ふるふると揺れる先端をぱくりと口に含まれて、僕は高い声をあげた。
「あっ、ぁ…、や…待っ…て…んっ」
ナオさんの巧みな舌先に煽られて、あっという間に限界がくる。
いくら久しぶりとはいえ、ちょっと銜えられただけで出してしまうなんて、恥ずかしい気もしたけれど、とても我慢はできなかった。
「あぁ」
半分気の抜けた悲鳴のような声を漏らして、ナオさんの口の中に放つ。
ナオさんは、当然のようにそれをごくりと飲み下すと、ぺろりと唇を舐めた。
「まこちゃんの味、久しぶり」
放ったばかりだと言うのに、浅ましく勃ちかかっている僕のモノをつぅっと指先で撫で上げて、ナオさんが嬉しげに笑う。
「気持ちよかった?」
笑顔で顔を覗き込まれて、僕は快感の余韻にぼんやりしつつも、小さく笑って頷いた。
「すっごく」
「僕も…する」
一度放って、スッキリはしたけれど、まだまだ物足りなくて火照る身体をもてあまして、ゆっくりと起きあがる。
ナオさんの足の間に入り込み、すっかり勃ちがったモノを両手で握ると、手の中でそれは一層容積を増した。
ちゅっと先端に口づけ、舌を出してちろりと舐める。
大きすぎて全てを含むことをできないソレを、僕は手で扱きながら、ぺろぺろとなめ回し、先端を吸い上げた。
「ん…」
甘くあがった声に、視線だけをあげると、ナオさんは目を閉じて口元を緩ませていた。
髪を撫でてくれる手が嬉しくて、舌をいっぱい動かして、懸命に舐める。
ますますいきり立ったモノからにじみ出た先走りを尖らせた舌先で舐め取ると、いきなり身体を引き上げられた。
ぎゅっと抱きしめられると、太股に熱いナオさんのモノが当たる。
そのままぐるりと回転されて、僕は再びナオさんの下になった。
僕の足を大きく割り拡げ、足先に口づけたかと思うと、だんだんあがってきた唇が、後ろへと滑る。
舌先で後腔をつつかれて、僕は身体を震わせた。
「は…ぅんっ」
ぬめる舌が、後腔にねじ込まれ、ひくつくソコをなめらかに潤す。
何度も舌で犯されてるうち、僕の後ろは淫らにざわめき、ナオさんの舌を迎え入れるように吸い付いた。
「も、ね、ナオさん…っ」
腰をもじもじ揺らして、ナオさんに訴える。
大きく開いた脚のせいか、内股の筋肉がひくひくと震えた。
焦らすようにゆっくりと舌が引き抜かれ、ナオさんの視線がひくつく後腔へと注がれる。
「ナオさんっ」
恥ずかしいのと、じれったいのとで、ナオさんを呼んで見上げると、ナオさんは分かった分かったというように頷いて、ゆっくり僕に覆い被さった。
「……っっ」
いきなり貫かれて、声もなく身体が反り返る。
痛みが走ったのはほんの一瞬。
深々と打ち込まれたナオさんが、ゆっくりと引きずり出されていくのに、背筋をぞくりとしたものが走り抜けた。
行かないで、というように後腔を締め上げ、ナオさんの腰に脚を回す。
と、望んだ通り、ナオさんの腰が再び突き上げられた。
ゆっくりとした動きだったのはほんの数回。
あとは、目を開けていられないくらいの激しい動きだった。
力強く腰を打ち付けられる音と、僕の甘い嬌声が、絡み合って散らかった部屋に響く。
僕は、首を振りながら、ナオさんの背中に思い切り爪を立てた。
「もっと…っ」
ナオさんの動きに、半ば夢中で応えながら、ナオさんの耳許に囁く。
「もっと、して。深く…奥まで、いっぱいにして」
自分でもびっくりするくらい、甘くとろけた声に、ナオさんは小さく身体を震わせると、僕の一番感じる場所を狙って、思い切り腰を突き上げてきた。
「あぁ、あぁ、あぁっ!!」
目の前が白くなるくらいの快感と共に、僕の前が勢いよく弾ける。
「ごめん、まこちゃん。まだ、付き合ってね」
吐精の快感にぐったりした僕を、ナオさんはなおも激しく攻め立てる。
「あ、あっ。ナオさん、ナオさんっ」
僕は、ぴくぴくと身体を痙攣させながら、必死でナオさんにしがみついた。
「ま、こっ」
ぎゅうっと窒息しそうな程強く僕を抱きしめて、ナオさんが奥に迸りを叩きつける。
それにつられるように、僕も震えて最後の数滴を滴らせた。
「はぁっ。はぁ…っ」
立て続けに三度も射精して、さすがに体力が限界だ。
僕は、荒い息のまま、目を閉じて荒い息を継いだ。
「まこちゃん」
僕の中にお邪魔したまま、ナオさんが頬をすり寄せてくる。
僕は、力の入らない手をなんとかナオさんの背中に回して、汗ばんだ背中をゆっくり撫でた。
「癒された?」
掠れ声で聞きながら、ナオさんの顔を見上げる。
「たっぷりね」
落ちてきた甘い口づけに、僕はうっとり目を閉じた。
僕もすっかりストレス解消。
いつだって、ナオさんは僕の特効薬だ。
何度も落とされる優しいキスに、僕は小さく笑みを浮かべた。
おちまい。
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