ぶるりと震えて目が覚める。
僕は半ば寝ぼけたまま、手探りで上掛けを探し、すぐに上掛けよりもイイものを見つけた。
穏やかな寝息を立てているナオさんに擦り寄り、足元に追いやられている上掛けを引っ張り上げる。
いつもは抱き合って眠るけれど、昨日の夜はナオさんのレポートが終わらなくて先に寝た。
ベッドに入った時は、少し蒸し暑いくらいだったのに、いつの間にか随分気温が下がったみたいだ。
ナオさんの胸の中で耳を澄ますと、ナオさんの力強くて規則正しい心臓の音と寝息に混じって、雨の音が聞こえる。
雨だから、今日はいちにち家の中だな。
…というよりも、ベッドの中かも。
そう考えて、僕は一人小さく笑った。
雨の日に、ナオさんと二人ベッドで一日過ごすのが、僕は好きだ。
昼間でも薄暗い部屋の中。
外はなんだか妙な具合に静かで、部屋の中の空気がしっとりと重く、なんだかけだるい。
そんな中で、ナオさんと二人、ひとときも離れずにずっとくっついてるのが好き。
僕は、スウェット越しのナオさんの胸に顔を埋めると大きく深呼吸をした。
「ん…」
ナオさんが小さく唸って、もぞもぞと身体を動かす。
起きてくれるかな?と思ったけれど、ナオさんはむにゃむにゃ言いながら、僕をぎゅっと抱きしめて…また、そのまま眠ってしまった。
逞しくて頼もしい腕の中は、あたたかですごく安心できる。
僕は目を閉じながら、そっとスウェットの下に指先を滑らせた。
高いナオさんの体温を指紋の下に感じながら、そろそろと背中を撫でる。
滑らかで、しっとりと気持ちのいい肌。
しっかりとした骨格や、みっちりとした筋肉。
手のひら全体で撫で回していると、ナオさんがくすぐったげに身動いだ。
「ナーオーさん」
そろそろ起きて欲しくて、うっすらと無精ひげの生えたほっぺたにちゅっと口づける。
「起きて」
耳許に顔を寄せて囁くと、ナオさんがゆっくりと目を開いた。
「おはよ」
ナオさんの視界にしっかり入るように、顔を覗き込む。
「まこちゃんオハヨ」
まだちょっと眠たげな目は、それでもしっかり僕を見上げて、うんと嬉しげに微笑んだ。
「今日ね、雨だよ」
口づけてくるナオさんに応えながら、キスの合間に言う。
「雨かあ」
ナオさんは呟くと、いきなりがばりと僕の身体を組み敷いた。
「んじゃ、今日はいちんちベッドの上やね」


「はぁ」
裸になって抱き合った途端、ため息が漏れた。
気持ちイイなあ。
ただこうやって抱き合ってるだけでも、すごく気持ちがイイ。
けど、ナオさんと僕がただ抱き合ってるだけで満足する筈がなくて…
髪を撫でていたナオさんの手が肩へと降りてきて、胸へと滑る。
「んっ」
胸先をきゅっと摘まれて、僕は思わず声をあげた。
「可愛い声」
くくっと低く笑って、ナオさんが反対側の胸を舌先でつつく。
「はぁ、あっ」
身体がどんどん熱くなって、息が乱れはじめて。
「色っぽい顔してる」
上気した僕の頬を指先で撫で、ナオさんは掠れた声で囁いた。
「だって…気持ちイイもん」
頬を撫でる指先を掴み、舌を出して舐める。
ねっとりと指に舌を絡ませると、ナオさんが大きく息をついて言った。
「まこちゃん、それ、すごくえっちい」
言いながら、空いている方の僕の手を取る。
「そんなえっちい顔されたら、たまらんやん」
導かれた手の先には、すっかり張りつめたナオさんのモノ。
僕はきゅっとそれを握ると、指から口を離して、替わりにソッチへ唇を寄せた。
「待って。まこちゃんも…」
「え、え…?」
戸惑っている間に、身体の向きを変えられて。
気づけばいわゆるシックスナインな体勢になっていた。
「や、やだっ。恥ずかしい…っ」
「まぁまぁ。んなこと気にせんと」
じたばたの抵抗も、あっさりと流されて、僕の唾液に濡れたままのナオさんの指が、後ろの谷間にへと潜る。
「あ、や…っ」
ナオさんのモノを握ったまま、身体を捩らせると、ナオさんは笑って僕の太股を押さえ込んだ。
「ほらほら。大人しくして」
ちゅっと音をたてて尻にキスをしながら、ナオさんの手が勃ちあがった僕のモノを指先で撫でる。
「あっ、あ…」
中途半端な刺激に、無意識のうちにねだるように腰が動いてしまう。
僕は、息をあらげながら、手の中で熱く脈打つナオさんのモノをやっとの事で銜え込んだ。
ゆっくりと奥まで飲み込んで、舌を絡めて愛撫する。
「んあっ、あっ」
いきなり、後腔にぬるりとしたモノがねじ込まれて、僕は思わず銜えていたモノから口を離すと、高い声をあげた。
「ふぁ、あ、や…っ」
ぴちゃぴちゃと濡れた音を立てて、ナオさんの舌が僕の後ろを出入りする。
柔らかにぬめる舌は、深く浅く僕を犯し、そのなんとも言えない感覚に、僕は身体を震わせた。
「ひくひくしてる」
「見ないでよっ」
焦って言う僕に、だって目の前にあるんやもん、とのんきな返事が返ってくる。
「もっと欲しい?」
お腹につきそうな程、反り返った僕のモノを弄りながら、言うナオさんに、うんうん頷く。
もっと、奥まで届くモノが欲しかった。
ふふっと笑う吐息が、かかってくすぐったい。
ナオさんは、ゆっくりと先走りを絡めた指を、たっぷりと濡れて解れた僕の後ろに二本纏めて突き入れた。
「あぁっ」
たしかにそれは舌より奥まで届いたけれど、僕の望んでいたものじゃない。
「は、あっ、あぁっ」
ぐちゃぐちゃと音を立てて中を掻き回す指に翻弄されながら、さっきから握ったままのナオさんのモノにもう一度舌を伸ばす。
ぺろぺろとなめ回すと、後ろから小さなため息が聞こえた。
その反応が嬉しくて、張りつめた先端をきつめに舐め、窪みを舌先でつつく。
「はぁっ」
大きな吐息が聞こえたかと思うと、指がずるりと引き抜かれ、あれよあれよという間に、ナオさんに腰を高く持ち上げられていた。
「あぁあ」
後ろからずん、と突き入れられてぐっと背を反らす。
お互いの顔が見えないこの体位は、あんまりしないから、慣れない姿勢に戸惑うけれど、少し新鮮な快感がある。
はじめから激しく突き上げられて、僕は必死でシーツを掴み、漏れそうになる声を殺した。
いつもなら、我慢するなとか、声を聞かせろとかいうナオさんも、今日ばかりは何も言わない。
だって、まるで夕方みたいに部屋の中は薄暗いけれど、今はまだ午前中。
昼間っから、あられもない声を響かせるのも…ね。
そう思って、堪えていたのに、ナオさんの手が僕のモノを掴み、突き上げる角度が変わった途端、僕は大声をあげてしまった。
「ぁあ、んあっ、あっ」
感じる場所を、ぐりぐりと責められて、あまりの快感に僅かに残っていた理性なんか吹っ飛んでしまう。
僕の声に、ナオさんは小さく笑って、そっと大きな手で口を塞いだ。
「こんな可愛い声を人に聞かれたら大変」
悪戯っぽく耳許で囁き、ついでとばかりに耳たぶを甘く噛んでいく。
口を塞がれるというちょっとした拘束感にくらくらする。
酸欠のせいかもしれないけれど。
後ろは限界まで膨れあがったナオさんのモノに、びっちりと塞がれてるし、僕はもういっぱいいっぱい。
「んんっ」
一際大きく奥まで突かれた途端、ナオさんの手の下で、くぐもった悲鳴をあげ、僕は白濁を散らしていた。
びくびくと震える僕の口を塞いだまま、ナオさんはなおも突き上げてくる。
「く…っ」
僕に覆い被さるようにして、ナオさんが息を詰め…熱い迸りが僕の最奥に注ぎ込まれた。


「お腹空いたね」
「そだね。もうベッドもぐちゃぐちゃやしね」
朝ご飯も食べないまま、ベッドでヤりまくって、さすがに限界。
僕とナオさんは、ぐうぐう鳴るお腹に笑いつつ、それでもべたべた抱き合っていた。
「なんだか晴れてきたみたいだね」
いつの間にか、窓の外は明るくなっている。
「そやね。ご飯食べに行こうか」
ナオさんは、起きあがると大あくびをしてベッドから降りた。
「ん。洗濯して、お布団干してね」
「明日から、また雨ばっかみたいやよ」
新聞を手に戻ってきたナオさんが、にやりと笑う。
「シーツをたくさん洗っておかんとね」


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