12月に入ったばかりの日曜日。
僕はナオさんに大学の裏手にある小さな林に連れてきて貰った。
「どんなのが要るの?」
「松ぼっくりとか、葉っぱとか、枯れ枝とか・・・いろいろ」
来週の美術の時間は、クリスマスリースを作ることになっていて、その材料を集めていくのが宿題になっている。
やっかいな宿題だと思ったけれど、ナオさんと一緒に、すっかり葉の落ちた木々の間を、落ち葉を踏み踏み歩くのは楽しくて、僕はすっかりご機嫌だった。
今日はすごく寒い日だけれど、ナオさんが側に居るだけで、なんだかほんわりあったかい。
やっぱり冬は良いなあ。
ナオさんと手を繋いで歩きながら、僕はしみじみ実感した。


「あ、どんぐり!」
「これも良いかも」
少し開けた場所に着くと、ナオさんはビニール袋を手にしゃがみ込んで、僕より熱心に材料集めをしてくれた。
僕は、目に付いた松ぼっくりや草のつるなんかを拾いつつも、気が付くとナオさんの方をぼんやりと眺めてしまっていて、ついつい手が留守になってしまう。
ナオさんの笑った顔も好きだけど(ナオさんは大抵笑ってるし)、なにかに集中してるときの真剣な顔が僕は好きで。
色づいた葉っぱを両手に持って真剣に吟味しているナオさんの顔を、僕はじっと見つめていた。
「ん?どした?」
僕の視線に気づいて、ナオさんが顔をあげる。
僕の方を向いた途端に、真剣な顔がかき消えて、ふにゃりとした顔になる。
「何でもない」
僕は笑って、しゃがんだままのナオさんの背中に上からぎゅっと抱きついた。
着込んでいるせいで、いつものナオさんより背中が大きい。
「寒いね」
僕は、負ぶさるようにナオさんにのし掛かりながら、後ろから耳に囁いた。
白い息がナオさんの耳に掛かって、ナオさんがくすぐったげに首を竦める。
「寒いから、そろそろ帰る?」
肩越しに振り返って僕に言うナオさんは、寒さのせいか、頬と鼻が赤くなっている。
僕は笑って、ナオさんの頬と鼻先に口付けた。
「それとも、ココであったまっていく?」
帰ろうか、と言おうとした僕に、ナオさんがにやりと笑って言う。
ココであったまる??
僕がきょとんとしていると、ナオさんは背中の僕を、勢いをつけて投げ飛ばした。
「ぅわっっ!!」
背中越しに投げられて、ぐるりと世界が反転する。
どさっと音を立てて着地すると、僕の周りで落ち葉が舞った。
「いきなり何する・・・・っ」
地面は落ち葉が幾重にも積もっているからふかふかで、ちっとも痛くはなかったけれど、ものすごくびっくりしたから、ナオさんを睨んで抗議しようとした途端、いきなり深く口付けられる。
「ん・・・」
ナオさんの暖かな手が、僕の頬を包み込むようにそっと撫で、いつの間にか手袋をしたままの僕の手が、ナオさんの背中に回る。
舌を絡め取られたあげくに、きつく吸い上げられて、思わず背中の手に力が籠もる。
息をつく暇もない程の、激しいキスに僕はすっかり翻弄されていた。
「はあ・・・・っ」
長い長いキスの後、ナオさんの唇がゆっくりと離れていく。
「あったまった?」
ナオさんは、目を細めて笑いながら、僕の濡れた唇を、親指でそっと拭った。
あったまった・・・・というより、熱い。
さっきまで、たしかに寒かったのに、どうしてキス一つするだけで、こんなに身体が熱くなるんだろう?
僕は、熱に潤んだ瞳で、ナオさんの顔をじっと見つめた。
「まだ、足りない?」
赤くなった僕の頬を指先で撫でながら、ナオさんが首を傾げる。
「うん・・・。もっと」
僕は、腕を伸ばして、ナオさんの首に抱きついた。



傍らには、脱ぎ捨てられたコートとマフラー、それに手袋が散乱している。
僕は、すべすべする木の幹に縋り付くようにして、がくがくする膝を支えていた。
「寒くない?」
12月の冬空の下だというのに、僕のズボンは下着ごとずり下げられて、冷たい外気に下半身が晒されていた。
たしかに、寒いのだけど。
ナオさんの指が二本入り込んでいる部分は、とろけてしまいそうに熱かったし、ナオさんの手が包み込んでいる僕のモノも、はちきれそうに熱を持っている。
「中はすごく熱いけど、ココは濡れてるから、余計寒そう」
ナオさんが言いながら、手の中のモノを扱く。
僕のモノは、とろとろと先走りの蜜を零して、ナオさんの手を濡らす。
「も・・・・っ、入れて!」
内側から灼かれるような熱さに耐えきれずに、僕は声をあげると、木にしがみついて身体を捩った。
「ん!」
ナオさんの指が引き抜かれたかと思うと、僕より数段熱いモノが後ろへと押し当てられる。
僕は、無意識のうちに、挿入をねだるかのごとく、淫らに腰を突きだしていた。
荒々しいほどの手つきで、ナオさんが腰を掴んで、一気に押し入ってくる。
「あ・・・・・んぁあっ!!」
突き入れられた衝撃で、思わず放っていた。
視線を下げると、木の幹にべったりと白濁が飛び散っている。
あまりに恥ずかしい光景に、放ったことで一気に下がっていた体温が、また急上昇した。
ぶるりと身体を震わせる僕を、ナオさんは容赦なく突き上げてくる。
時折足が浮きそうになるほどの激しい突き上げに、僕は萎えそうになる足に力を込めて体重を支え、しっかりと木を掴んだ。
「まこちゃんの中、ドロドロで溶けそうに熱い・・・」
ナオさんが、呻くように言いながら、後ろから僕を抱きしめる。
「ナ・・・オさんも、熱いっ」
中に居るナオさんも、背中に感じるナオさんの胸も、僕を抱きしめる腕も、耳に掛かる吐息も、全部熱い。
あんまり熱くてのぼせそう・・・
激しく内を穿つ熱に、身体ばかりか頭までとろけそうにぼんやりしてくる。
「ぅ、んんっ」
「熱・・・」
身体の中にたっぷりと注がれた熱を感じながら、僕は半ば意識を飛ばしていた。


「まーこーちゃん!」
声と共に、ぴたぴたと頬を叩かれて、やっと目が覚める。
気が付いた時には、僕はちゃんと服を着ていて、ふかふかの地面に横になっていた。
上には、僕のコートとナオさんのコートが掛けられている。
「あ〜、気持ちよかった!と思ってまこちゃんみたら、ぐったりしてるからびっくりした」
ナオさんがほっとしたように、そっと僕の髪を撫でる。
「僕も・・・気持ちよかった」
ぼんやりしたまま呟くと、ナオさんは笑って僕を抱きしめた。


「今日の夕飯はお鍋ね」
林の中を、僕をおぶって歩くナオさんに宣言する。
今日はちょっと、料理をする気力と体力が無い。
「鍋!?やった〜」
無邪気に喜ぶナオさんの背中に、気だるい身体を預けながら、僕はそっと目を閉じて実感した。
やっぱり、冬ってさいこうだ。

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